2002 Fiscal Year Annual Research Report
1960年代イギリスにおける価値規範変容の史的研究-「寛容社会」論再考
Project/Area Number |
14510399
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
市橋 秀夫 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (70282415)
|
Keywords | イギリス / 1960年代 / 寛容社会 / 同性愛 / 死刑廃止 / 妊娠中絶 / 価値規範の変容 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、(1)二次文献の分析と整理、(2)一次史料の収集・整理・分析、(3)中間考察のまとめ、の3点にあった。(1)二次文献については、ほぼ収集を終え、現在その整理と分析を進めているところである。(2)一次史料の収集については、ロンドンの国立公文書館(PRO)で集中的に、内閣、内務省、保健省などの内部ファイルを中心に史料を収集し、とくに同性愛問題と妊娠中絶問題については、予定通り、ほぼ公文書館での史料収集は終えることができたこれによって法律制定過程での省庁レベルの議論の過程の再構築のために必要な素材はほぼ揃えることができたと思う。死刑廃止問題については、まだ時間不足で収集し切れていないが、来年度に補足調査を行い、完全を期したい。国内での一次史料の収集は、議会報告書関連はほぼ終了することができたが、新聞および定期刊行物の関連史料収集はまだ十分に終えることができなかった。イギリスにおいても、国立公文書館での史料の読解と収集に予想以上の時間がかかり、新聞図書館および労働党文書館での史料収集は断念せざるを得なかった。 したがって、予定した史料収集をすべて終えることはできなかったが、課題を検討するのに必要な史料は確保できたと考えている。現在は、国内での史料収集を継続しながら、(3)中間考察のまとめを進めているところである。この中間報告のまとめとしては、これまでの初年度の調査研究成果の一端を、平成15年度5月に開催される日本西洋史学会の第53回全国大会で、自由論題報告<一九六〇年代イギリスにおける性犯罪法の成立と「寛容社会」>として発表するかたちで示す予定である。
|