2002 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀後半のロシアの絵入り新聞にみる東アジア表象にかんする基礎的研究
Project/Area Number |
14510403
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
下里 俊行 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (80262393)
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Keywords | 19世紀後半 / ロシア / 絵入り新聞 / 東アジア / 表象 |
Research Abstract |
19世紀後半のロシアの絵入り新聞の資料状況について、日本およびロシアの図書館で調査した。その結果、すでに収集済みの『イリュストラツィヤ』(1858-1863年)に加え、『イリュストリロヴァンナヤ・ガゼタ』(1864-1867年)、『イスクラ』(1859-1873年)、『イリュストリロヴァンウィ・セメイヌィ・リストク』(1859-1863年)が資料的に重要であることが判明し、その収集に着手した。 画像資料の分類・整理の技術的方法について、光学解像度3200dpiを有するスキャナーによってマイクロフイッシュの画像取り込みが可能であることが判明した。 画像・記事資料の整理・分類のためのフレームワークに関して、画像を教材として学校現場で実用化するためのノウ・ハウを現職教員からのレビューを受ける中で検討し、その結果、既存の概念的分類よりも、身近な生活体験や地域的特性を重視したカテゴリー分類を工夫する必要があることが明らかになった。 ロシア史・ロシア思想史の観点から「東アジア」表象のもつ意味について、モスクワ、サラトフで現地調査をおこない、研究者からのレビューを受けた結果、第一に、19世紀に関してはヘーゲルの歴史哲学を当時の地理的・歴史的な認識枠組みの前提として確認する必要があること。第二に、当時の「アジア」的なものの表象が、単なる認識上のカテゴリーだけでなく、社会批判的・倫理的な価値判断を内包するものであることが明らかになった。とりわけ、19世紀後半のロシアでは「アジア」認識が、自己の社会的・政治的状態に対する自己批判的な評価と不可分に結びついていることが判明した。
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Research Products
(1 results)