2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510407
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南川 高志 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40174099)
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Keywords | ローマ帝国 / 属州 / ヨーロッパ / ロー化 / 都市化 / 文化変容 / 文明化 / 軍団 |
Research Abstract |
本年度はこの研究の第3年目であり、本格的にローマ帝国西方属州の「都市化」と「文化変容」の考察に入った。具体的には、本研究の初期に検討の重心を置いていたブリテン島から大陸に視点を移し、現在のドイツ周辺に相当する地域のローマ時代の有り様を探る作業に入った。9月に実施した海外調査では、研究の拠点をドイツではケルン大学に、スイスではバーゼル大学に置いたが、ケルン大学のヴェルナー・エック教授とバーゼル大学のユルゲン・フォン・ウンガーン=シュテルンベルク教授から大いなる支援を得て、順調に調査・研究を進めることができた。とくに、ライン川沿いのいくつかの都市の博物館に収蔵されたローマ時代の遺物、とりわけ陶器や日常生活用品、そして墓碑などの資料を調べ、ローマ風の生活様式の広がりとその性格、そして範囲と限界を考察することができたのは幸いであった。拠点とした両大学の図書室の豊富な研究文献にも助けられた。ただ、都市にある博物館や大学の研究図書館での調査はできたものの、いわゆる辺境部分の軍事的拠点の遺跡を今年度は調べることができず、次年度の課題として残った。 また、本年度の初めにイギリスからグレッグ・ウルフ教授とマーティン・ミレット教授を、さらに年度の終わり頃にはケルン大学のエック教授を別の予算で京都大学に招聘することができたので、彼らと共同研究と意見交換をおこなって、研究の重要な情報を数多く手にすることができた。とくにエック教授はごく最近に、本研究テーマに重大に関係を有するローマ時代の都市ケルンに関する900ページ近い大著を著されたばかりであり、今後ともこの共同研究体制は維持してゆきたいと思っている。
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Research Products
(3 results)