2004 Fiscal Year Annual Research Report
中世北フランス・バポーム通過税の形成・展開と地域における社会的合意
Project/Area Number |
14510416
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山田 雅彦 熊本大学, 大学教育機能開発総合研究センター, 教授 (90202382)
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Keywords | 紛争と紛争解決 / 通過税 / 流通統制 / フランス王権 / 中世都市 / アミアン / 高等法院 |
Research Abstract |
本研究は平成16年度においては、ドゥエ市文書館及びサン・トメール市調査、さらに別経費によるアミアン市文書館を含め3つの海外文書館を継続調査し、ほぼ主要な史料群については参照を終えた。また、これらの新たな文書館調査の成果と過去2年間行ってきた研究成果を総合して、具体的には大きく2つの方向で仕事を進めた。 1つは、平成15年度の海外渡航の際、サン・トメール市文書館で発見した、バポーム通過税のこれまで知られていなかった「第4」のテキストについて、同写本を含む都市文書帳自体の歴史的位置づけと外層・内層批判を進めた結果、問題の第4テキストの校訂と歴史的考察を行った。その一部の成果は別経費を用いてイギリス・リーズ大学で夏季に行われた国際中世史学会のセッションで報告し、より完全には最終的な成果報告書にて公表する予定でいる(なお英文による論文も今年中には完成の予定である)。 もう1つは、本研究のメインテーマ中のメインテーマであり、13世紀末から14世紀におけるバポーム通過税の成文規定をめぐって生じた通過税免除特権の是非、あるいは通過税適用範囲をめぐる諸紛争を、具体的な免除特権状や高等法院判例の分析を通して明らかにするもので、本年度は、昨年度が13世紀後半のサン・トメール等を中心に分析したのを受けて、14世紀前半のアミアン市とバポームとの紛争を中心に考察を深めることを行った。特に、この紛争とその解決過程では、都市の主張が、折々の高等法院の判例に盛り込まれつつその当否が慎重に吟味されるなど、必ず利害集団の主張を均等に見渡し、過去の判例に基づいて裁定が下されていったとする昨年来の見通しがより具体的かつ論理的に明らかとなってきた。この成果も最終的な研究成果報告書の中で、大きく頁を取って公刊する見通しが付いた。 なお、関連史料の全体的データ・ベースの作成は、中途過程にあって、今後も海外調査を重ねてより完成度の高いレベルを目指していく。
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Research Products
(3 results)