2002 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期ソ連の一国社会主義体制と極東亡命ロシア人社会との相互関係の史的研究
Project/Area Number |
14510417
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中嶋 毅 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (70241495)
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Keywords | ソ連 / 歴史 / 亡命者 / 知識人 / ハルビン |
Research Abstract |
本研究は、1917年の十月革命に反対して内戦に参加し、のちにハルビンに亡命したロシア知識人のソヴィエト・ロシアに対する政治的態度の転換過程をあとづけ、彼らによるソヴィエト権力承認とソ連体制への協力がソ連の一国社会主義体制の形成過程に及ぼした影響とその歴史的意義を、同時代の文献資料に基づいて実証的に明らかにすることを目的とした。 具体的には、ハルビンの亡命知識人グループの政治思想を追求するために、補助金を用いて、従来わが国に所蔵されていなかったハルビン刊行ロシア語新聞『ザリャー』および『ハルビンスコエ・ヴレーミャ』などをマイクロフィルムの形で購入し、在ハルビン亡命知識人に関する情報を収集・分析した。また、補助金を用いてスタンフォード大学フーヴァー研究所に出張し、同文書館および図書館において未公刊文書の調査および亡命知識人の発行した同時代文献の調査収集を実施して、亡命知識人の具体的活動の把握をおこなった。 上記の作業を通じて、平成14年度には、ハルビン在住亡命ロシア人の知的活動の具体的様相を一定程度明らかにした。とりわけハルビンのロシア人社会を維持するうえで必要不可欠であったロシア人教育のあり方を検討し、ハルビンでロシア人が組織した高等教育機関であるハルビン法科大学の創設(1920年)から1937年の閉鎖までを概観した。その過程で、この大学がハルビンのロシア人社会で世論形成に重要な役割を果たしたこと、およびこの大学が同時代のソ連の極東政策と一定の関連を有していたこと、を明らかにした。
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