2002 Fiscal Year Annual Research Report
占領期ドイツにおけるナチス犯罪者の司法処罰に関する研究
Project/Area Number |
14510418
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
清水 正義 白鴎大学, 法学部, 教授 (20216104)
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Keywords | 国際法学 / 戦争責任論 / ニュルンベルク裁判 / 人道に対する罪 / イギリス・アメリカ・ドイツ |
Research Abstract |
第二次世界大戦期のドイツ主要戦争犯罪人に対する司法的断罪の意義を調査する本研究の第一年度においては、関連資料の収集と分析が主たる作業となった。このなかで書籍約70点を購入するとともに、夏季期間を利用して英国国立公文書館で資料収集にあたり、書類約3000枚相当を複写、入手した。これらの資料は第二次世界大戦期の連合国(英米)外交政策担当者の戦争犯罪人処罰政策の形成過程に関する研究文献及び一次資料、ならびに第一次世界大戦後のヴェルサイユ講和条約における前ドイツ皇帝訴追問題に関する英国側関係一次資料である。これらの資料により、英米政策担当者の戦争犯罪問題に対する政策が時期や戦局展開とともに発展していく状況が明らかにされ、とくにまた最高指導者の英首相チャーチル、米大統領ローズヴェルトの政策思想とその中での戦犯問題の位置づけが明らかにされるものと考えられる。 この研究の途上で、第一次世界大戦後のヴェルサイユ講和条約におけるドイツ戦争責任問題が、第二次世界大戦終結後の戦争裁判の前提条件として重要な意味を持っていることが確認されたので、ヴェルサイユ講和条約締結時における前ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世の訴追問題について原資料に基づく分析が不可欠と考え、現在それについての論文を今春発行予定の大学紀要に執筆中である(『白鴎法学』21号)。なお、こうした一次資料に基づく実証的分析研究とともに、それらの実証分析の前提となる学問的問題意識を自分なりに整理する作業を行い、その一環として今年度は「戦争の記憶」という問題をとりあげ、近年歴史学会において取りあげられつつある「戦争の歴史と記憶をめぐる問題」について分析を加え、本学紀要に発表した(『白鴎法学』20号)。
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Research Products
(1 results)