2004 Fiscal Year Annual Research Report
占領期ドイツにおけるナチス犯罪者の司法処罰に関する研究
Project/Area Number |
14510418
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
清水 正義 白鴎大学, 法学部, 教授 (20216104)
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Keywords | 国際法学 / 戦争責任論 / ニュルンベルク裁判 / 人道に対する罪 / イギリス、アメリカ、ドイツ |
Research Abstract |
本年度の研究は前年度までに収集した英米政府の対ドイツ戦争犯罪人処罰政策に関する一次資料(米国立公文書館所蔵、英国立公文書館所蔵)及び同問題についての研究文献、並びに今年度さらに収集した研究文献を基にして第一次世界大戦から第二次世界大戦にいたる時期のイギリス、アメリカの戦争犯罪者処罰政策の形成と、戦後占領期におけるその実践について分析し、具体的な成果を発表した。 まず第一次世界大戦時の前ドイツ皇帝訴追の失敗という経験が第二次世界大戦時のイギリス政府の対独戦犯処罰政策の形成にきわめて否定的な影響を与えたことを、イギリス政府公文書を土台に明らかにした(『白鴎法学』23号)。また、第二次世界大戦後半にアメリカにおいてナチス・ドイツのユダヤ人迫害政策をめぐる評価と対策論の違いから対独強硬路線(モーゲンソー路線)と穏健路線(スティムソン路線)との対立が生じ、最終的に穏健路線の勝利と主要戦犯訴追方針の決定にいたった経過を明らかにした(『白鴎法学』24号)。 こうした英米の対独戦犯処罰政策の形成と並んで、第二次世界大戦後の国際軍事裁判(ニュルンベルク裁判)の開廷にいたる過程についてのこれまでの研究動向を整理し、侵略戦争の罪(平和に対する罪)に代わって、非人道的迫害行為(人道に対する罪)の処罰こそが戦後国際法廷の意義であったことを極東国際軍事裁判との対比において分析した(『白鴎法学』25号)。 本研究は本来、三年目の本年度において学位論文としてこの間の研究成果をまとめる予定であったが、現在の時点でほぼ終了しており、近く最終的に完成させる予定である。
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Research Products
(3 results)