2005 Fiscal Year Annual Research Report
中世盛期の聖域と地域社会-11、12世紀の修道院をめぐる寄進と紛争-
Project/Area Number |
14510420
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
杉崎 泰一郎 中央大学, 文学部, 教授 (60235877)
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Keywords | クリュニー / 修道院 / 儀礼 / 聖域 / ブルゴーニュ / 中世 / 寄進 / 紛争 |
Research Abstract |
クリュニー修道院の主要な宗教活動である修道院儀礼(祈・、典礼、葬儀、祝福、秘蹟、救貧、行列)などが、地域社会においてどのように作用し、修道院にどのような利益を与えたかについて研究を進めた。6月27,28,29日にオーセールでブルゴーニュ大学の中世研究所が主催した中世の教会献堂式をテーマとした研究集会に出席し、儀礼の実態と社会的機能に関して、第一線の研究者との交流を通して研究動向や史料編纂状況に関する情報を得た。また8月後半にミュンスターの初期中世研究所に滞在し、クリュニー研究を進めている研究所員との情報交換や文献収集を行なった。クリュニーの修道院儀礼を研究するための主要史料である修道院慣習律は、研究の重要性を指摘されつつも、テクスト校訂の遅れもあって分析が遅滞していたが、上記の二つの研究所を中心に徐々に研究が進みつつある。今年度は11世紀に編纂された三つの修道院慣習律『道の書』『ウルリヒの慣習』『ベルナルドゥスの慣習』を取りあげ、クリュニー修道院がこれら慣習律を文書化した背景とその効能について考察し、文書作成の役割が重要化したことと、葬儀や埋葬に代表される社会性の高い儀礼行為が完成していったことを明らかにし、報告書を作成した。また原書房から1999年に出版した単行本『12世紀の修道院を社会』の内容を改定する機会を与えられたため、本研究を通して得られた研究成果をもとに本文の改定作業を行うとともに、参考文献に新たな研究を追加し、英文・仏文での要旨を付け加えた。この文献はミュンスター大学のクリュニー研究サイトBiliotheca Cliniacensia Novissimaに掲載された。
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Research Products
(3 results)