2003 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋戦争前の在ロサンゼルス日本人社会における公共団体の研究
Project/Area Number |
14510422
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
米山 裕 立命館大学, 文学部, 助教授 (10240384)
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Keywords | 日本人移民 / 日本人会 / ロサンゼルス / アメリカ西部 |
Research Abstract |
今年度は、2つの分野において、研究の進展を見た。1つは、昨年度の漁業の研究を包含する、カリフォルニア及び周辺地域の環境史的・経済史的研究である。アメリカ合衆国に編入された19世紀後半から、カリフォルニアは急速に世界的資本主義システムに飲み込まれるが、それは、以下の2点を成立のために必要としていた。(1)資本主義的な資源収奪システムのために、東部資本が投入されると同時に、収穫物・生産物を東部市場・ヨーロッパ市場に輸送するためのインフラが整備されること。(2)安価な労働力として、白人、メキシコ人、黒人以外に、アジアからの移民労働者が導入されること。このような文脈のもとで日本人移民の活動を、南カリフォルニアの社会経済史の中に位置づける作業をおこなった。その成果は、平成15年12月13日に京都大学で開催されたシンポジウム「New Wave:21世紀の日系アメリカ人研究」において、「20世紀初期ロサンゼルスの日本人社会とアメリカ西部経済」として発表し、平成16年3月末に発行予定の報告書に掲載予定である。 もう1つの分野は、ロサンゼルス日本人社会における公共団体に関する研究成果のさらなる蓄積と統合である。新聞資料等を用いて蓄積を進めてきた主要公共団体の活動や人的ネットワークに関し、収集したデータを統合・分析し、日本人社会全体や、南カリフォルニア社会の動きと対応させて理解することが可能になった。これは、公共団体の動的理解に資するものである。また、昨年度来、継続してきた、職業、居住地区、家族構成などの社会学的データの蓄積と分析も、さらに進めた。これらは、日本人社会のある時点における詳細なデータであり、特定時点における静的理解に資するものである。このような作業の進展を受け、来年度前半には、日本人会に関する論文を1点、日本人会以外の公共団体に関する論文1点を刊行する予定で執筆作業に入った。
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