2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510429
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 良之 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (50128047)
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Keywords | 古墳時代 / 親族集団 / 首長 / 家族 / 親族関係 / 国家形成過程 |
Research Abstract |
まず、すべての作業に先立って、広島県府中市山の神古墳群および大分県天ヶ瀬町宇土3号墳の再検討を行い、これらが同世代の血縁者(キョウダイ)を単位とする家族が複数葬られたものであることを確認した。次に、西日本を中心に人骨出土前半期古墳群を選び、人骨出土古墳に関する報告書等の文献を収集し、かつ調査機関へと問い合わせたり、出向いたりして、その時期、群構成、個々の時期的関係、埋葬順序等の考古学的情報を検討し、個々の古墳および古墳群における親族関係モデルを構築した。そして、古墳出土人骨の歯冠計測値をはじめとした遺伝的形質の計測及び観察を行いつつある。資料としては、今年度は九州大学所蔵および教育委員会等の調査機関に所蔵された人骨を用いた。その予備的成果としては、福岡市老司古墳のような地域の首長墳においても、同時期の4基の石室が築造されており、それぞれにキョウダイ原理に基づく家族が葬られていることから、古墳全体は「有力親族」の墓としての性格が強いと考えられた。これは、古墳時代前半期において、いまだ親族集団から特定個人-家族が析出されていない場合もあることを示し、従来考えられてきた古墳時代の社会集団よりは未熟な状態であったことを予想させる結果である。
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Research Products
(1 results)