2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510432
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷川 章雄 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (40163620)
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Keywords | 火葬 / 墓 / 近世 |
Research Abstract |
本研究は、近世の墓制のなかのとくに火葬墓をとりあげ、発掘調査された火葬墓の事例を考古学的に分析することにより、近世墓制における火葬の位置づけを考察することを目的としている。 本年度は、江戸を中心にして火葬墓の事例を収集し、データベース化した。具体的には、東京都中央区八丁堀三丁目遺跡、港区増上寺子院群、天徳寺浄品院、新宿区発昌寺跡、円応寺跡、台東区寛永寺護国院などの遺跡を対象にした。データベース化した事例は、次のような視点から分析した。(1)火葬と土葬の比率、(2)埋葬施設の構造と火葬・土葬の関係、(3)火葬蔵骨器の分類と変遷、(4)焼骨の性別・年齢・重量、(5)火葬場との関連。 その結果、火葬と土葬の比率は、17世紀には火葬の比率が高い墓地と低い墓地の両者が見られたが、18世紀以降は土葬の比率が高くなり、17世紀後葉になると鉄釉二〜四耳壷の火葬蔵骨器が普及したことが判明した。また、17世紀の火葬墓の焼骨の重量は18世紀以降よりも低いこと、子供は火葬の比率が比較的低いという傾向がうかがわれた。こうした火葬墓の変遷は、江戸の墓制の変遷と画期に対応していると考えられる。 今後は、他の地域の火葬墓の事例を収集し、データベース化するとともに、より詳細な分析を行なうことによって、近世墓制における火葬の位置づけを考察することにしたい。
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Research Products
(1 results)