2004 Fiscal Year Annual Research Report
語法及び用語の比較による版本狂言記四種の分類と日本語史上の位置づけ
Project/Area Number |
14510443
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大倉 浩 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (60176849)
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Keywords | 版本狂言記 / 祝本狂言集 / 狂言の用語 / 中世語 / 近世語 |
Research Abstract |
遅れていた分類のための語法・用語リストは完成した。この過程で『祝本狂言集』との比較は、『祝本』自体の資料的検討が不十分なため、ひとまず分類からははずして作業を進めることとした。完成したリストをもとに、補助者の協力を得て版本狂言記全二百番の曲の分類をパソコン上で行った。複雑な表の形であらわれたものから、各曲の伝承関係・固定化の程度を加味して、意味のある分類表として整理し、位置づけることを急いでいる。二百番全てをきれいに整理することよりも、特徴的な曲を取り出して位置づけることが可能ではないかという見通しを得ている。 その一環として雑誌『日本語学』の「近代日本語研究」特集号に、狂言資料全般と特に版本狂言記の近世・近代語研究からみた資料的位置づけについて論文を書く機会を得たので、上記のような本研究の成果の一部を「おまへ」という代名詞を例に挙げながら公表した。 また、マイクロフィルムで早稲田大学演劇博物館蔵の版本狂言記諸本の写真を購入し、諸本研究に新たな資料を加えることができた。写本では、実践女子大学常盤松文庫蔵『鷺流狂言台本』を実見する機会を得た。これまで鷺流狂言と狂言記との関係をあまり重視してこなかったが、保教本などの研究からは、狂言記が鷺流狂言に与えた影響も考えられ、写本の一種を実際に調査して大変参考になった。
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Research Products
(1 results)