『倭姫命世記』の本文・付訓に関する国語学的基礎研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14510451
• Research Institution: Kokugakuin University
• Principal Investigator: 中村 幸弘 國學院大學, 文学部, 教授 (70052123)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 阪本 是丸 國學院大學, 神道文化学部, 教授 (30162308) ; 遠藤 和夫 國學院大學, 文学部, 教授 (50054507)
• Keywords: 宣命書き / 付訓 / 校本 / 訓読本 / 補読 / 上代語法 / 中世語法 / 文選読み

Research Abstract

本研究が平成14年度科学研究費補助金の採用を受けるに先立って、研究代表者中村は、「『倭姫命世記』の付訓-語法・敬語表現編-」(國學院大學大学院文学部研究科創立五十周年記念論文集)「『倭姫命世記』の付訓-同字異訓語・字音語・文選読み・訛語・誤読語・神社祭祀関係用語編-」(國學院大學大學院紀要-文学研究科-第三十三輯)の二編の論文を発表してある。その付訓の徹底した整理には、可能なかぎりの諸写本の校本作成が必須作業となる。國學院大學図書館蔵の写本二十一本のうち六本を選定、その訓みの異同が一覧できるよう、各本の本文・付訓のコピーの貼り込みを行い、校本化を進めている。
一方、付訓を取り入れた活字本『中世神道集』所収『倭姫命世記』(大隈和雄氏)と唯一の活字本注釈書『倭姫命世記注釈』(和田嘉寿男氏)との対校を試み、独自の訓読文を作成、現在、その訓読文に従って現代語訳を進行させている。また、その現代語訳に併せて、語義・語法の解説も加えて、かつてない読解研究となりうる方向で執筆を始めている。
研究分担者としての遠藤は、中村の現代語訳を追いかける形で、『日本書紀』『古語拾遺』『延喜式祝詞』など、本文の引用関係文献について確認、いわゆる典拠の整理を進めている。いま一人の研究分担者阪本は、神道学の立場から、中村・遠藤に、随時、助言を与えてくれている。