2002 Fiscal Year Annual Research Report
明清白話(口語体)小説の近世日本における翻訳を通した近世中国語の用例と受容の研究
Project/Area Number |
14510453
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小田切 文洋 日本大学, 国際関係学部, 教授 (10123168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 勝也 日本大学, 短期大学部(三島)・商経学科, 教授 (90320811)
呉 川 日本大学, 国際関係学部, 教授 (80277376)
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Keywords | 白話語彙 / 唐話 / 通俗物 / 通俗小説 / 擬音語・擬態語 / 近世中国語 |
Research Abstract |
江戸から明治初期にかけて盛んに読まれた白話小説の語彙(近世中国語)がどのように研究され、また受容されていったか、その基本となる資料を整理している。白話小説語彙の受容の接点になる訓点本や通俗物と称される訓読式の翻訳の用例を手掛かりに事例を集めている。それとともに、唐話辞書と総称されている中国語会話の教科書や白話小説の語彙辞書の用例も調査している。 次にこのような白話小説の語彙が、日本語文献の中にどのように取り入れられていったか、読本や洒落本など江戸期の小説類をはじめ、繁昌記などの漢文戯作、また明治初期の啓蒙家や文学者の用例を集めている。 今年度は事例の調査を中心としたが、ある程度用例が集まってきたので、その具体相の分析に移っていきたい。 本研究は、江戸から明治初期における受容例を通して、近世中国語の語彙や語法の問題を取り上げることも目的とする。翻訳など中国語と日本語の接触を通して、中国語への理解の度合いや日本語への移し換えに着目することで、近世中国語の語彙・語法研究に資するものがあると考えたからである。どの言語でもその言語らしさが最も現れるのがオノマトペであろう。擬音語や中国語の擬態語ともいわれる形容詞の各種重ね型の翻訳例を、『醒世恒言』第三巻や『水滸伝』(十回まで)の調査から始めている。この二つの作品は複数の訳例が取れる。これらの調査に合わせて代表的な他の白話小説の用例の収集にも努めている。こちらの調査もある程度まとまってきた段階なので、次に分類分けとその特色の分析に移っていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)