平曲伝承資料の基礎的研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14510460
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 鈴木 孝庸 新潟大学, 人文学部, 教授 (90143742)
• Keywords: 平曲 / 平家琵琶 / 語り / 平家物語 / 譜本 / 平家正節 / 波多野流 / 前田流

Research Abstract

年度の研究実績は下記の通りである。
(1)『平家正節』の翻刻作業の継続。…本年度は、『平家物語』巻第五分の全句(「都遷」から「奈良炎上」まで)の17句を翻刻した。
(2)甲南女子大学蔵『平家物語』の翻刻作業の経続。…本年度は、巻第三「頼豪」から巻第四「厳島御幸」までの14章段を終了。
(3)大韓民国Seoul大学所蔵平曲譜本(旧京城帝国大学蔵書)の調査。
いずれも波多野流譜本と認められるものだが、実物をもとに書誌調査を行い、朱墨の状態などを調査することができた。
(4)譜本による書き入れのある平家物語整板本の入手。
検討未了だが、東大蔵譜本(波多野流譜本か)による書き入れらしい。
(5)『當道要集』『當道略記』などの入手。
『當道要集』に関しては、単独の本であること、奥書に盲人史に関わる新しい資料が得られたのではないかと思う。
(6)『平家物語全注釈』の仕事の検討。特に「曲節」名の注記について検討し、「曲節」の認定の仕方、不備などについて、異見を述べた。
(7)平曲を利用しながら、『平家物語』の文章の創造の秘密に迫ろうとして、これまでの<三重><中音>の検討を基にした見通しを述べた。
(8)『當道略記』の紹介。これまでの紹介の不偏を正すべく、新たに二点の資料を、翻字・影印で紹介した。

Research Products

• [Publications] 鈴木孝庸: "平家物語の演誦における本文と曲節について"古典遺産. 52. 16-30 (2002)
• [Publications] 鈴木孝庸: "資料紹介『當道略記』"人文科学研究(新潟大学人文学部). 110. 35-101 (2002)
• [Publications] 鈴木孝庸: "平家物語の作詞法"湘南文學. 16. 68-73 (2003)