2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510463
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
朝倉 尚 広島大学, 総合科学部, 教授 (80033231)
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Keywords | 義堂周信 / 空華集 / 義堂和尚語録 / 新選貞和集 / 重編貞和類聚祖苑聯芳集 / 空華日用工夫略集 / 禅的発想 / 博引旁証 |
Research Abstract |
外来文化としての禅文化が、日本化して普及・創作した「隆盛」期の段階において、中心的役割を果たした義堂周信(1325-88)の文筆活動の内実を解明するために、まずは基礎的作業として、義堂の著作物・作品集を一覧表化し、その所在と保存状態を確認した上で、収集可能なものについては複写、入手するという方針を採った。国立国会図書館・東洋文庫・足利学校・岩瀬文庫をはじめとする図書館や文庫、さらに京都五山の東福寺霊雲院・建仁寺両足院などの禅院塔頭を実地に踏査し、善本が所蔵されることを確認した。空華集を中心に写真撮影、あるいはコピー複写を実施した。 空華集については、「五山文学全集」第二巻所収の本文を利用してきたが、当本は元禄九年版を主として底本としたようである。が、五山版や古写本も存し、今後作品の整理、本文の整備が急務となる。義堂が編纂した「掲頌の総集」とも称されるべき新選貞和集・重編貞和類聚祖苑聯芳集についても、「大日本仏教全書」芸文部所収の本文により利用されてきたが、今次の調査により広範囲に流布していたことが知られ、今後の作品・本文の校合・整理が可能となった。 義堂の個人の作品集にしろ、編著の掲頌の総集にしろ、量的に膠大であり、多大の労力と経費が必要である。が、五山文学の一方の特徴とされる観念的世界の展開(博引旁証)については、その原型を示し、発端をなしたのが義堂周信の作品であると確信している。義堂の作品には、後世の禅僧が形成する観念的世界の主要部、必要にして欠くべからざる最少限度のものを内包している。このことを実証するためには、義堂の全作品を網羅し、本文を整備することが不可欠となる。緊急を要する、価値ある基礎的研究なのである。
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