2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510473
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
柳澤 良一 金沢学院大学, 文学部, 教授 (80123222)
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Keywords | 『菅家文草』 / 『菅家後集』 / 叙意一百韻 / 注釈 / 菅原道真 / 『源氏物語』 |
Research Abstract |
国立国会図書館・国立公文書館内閣文庫・国文学研究資料館・東北大学図書館・大阪府立中之島図書館を中心に、すでに入手した資料も含めて、菅原道真の漢詩文集である『菅家文草』『菅家後集』の写本・版本類を調査・研究した。とりわけ研究の基盤となる本文整備・校訂に力をそそぎ、校訂本文を作る作業を続け、『菅家後集』については完成した。これらの基礎研究に立脚して、研究完成年度の今年度は、これまでの諸説との比較研究を中心に据えて、従来の研究との相違をいくつか呈示することができたかと思う。そのために、論文収集にも力を入れて新見を呈示するように努めた。菅原道真自身が詠んだ漢詩から、道真の実像が浮かびあがるように努力したつもりである。また、論文の発表では、従前通り『菅家後集』の注釈を続行中である。今年度は四八四番「叙意一百韻」についての注解のつづきで、80句までを扱った。大宰府左遷の苦悩が凝縮されて、五言詩百韻二百句、一千言から成る菅原道真最大の長編詩で、畢生の佳作といえる作品の注解を発表した。『源氏物語』『大鏡』などの作品や類似の内容を扱った作品など、後世への影響も含めて、一つの作品を幅広い視点から考察することに心がけた。さらに、東京大学教養学部美術館や京都国立博物館、奈良国立博物館、国立歴史民俗博物館、五島美術館、出光美術館、東京国立博物館などでの展観書目や美術作品を見ることによって、道真の漢詩やその周辺の作品、拠っている参考文献などの理解を深めることができた。
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Research Products
(3 results)