2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510482
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長井 裕子 北海道大学, 言語文化部, 教授 (50135604)
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Keywords | 旗人 / 八旗 / 北京文化 |
Research Abstract |
平成14年度は旗人について言及した文学テクスト、研究論文、ならびにその他の関連文献を捜索し、収集することに重点を置いた。資料収集は日本国内のほか、中国でも行った。 1.『盛京時報』影印本を購入した。同紙の文芸欄を1918年からまで主催していたのは旗人出身である穆儒丐という人物である。彼は同紙に自伝的な小説(たとえば『徐生自伝』、『北京』)や清末から民国初期の北京を舞台とした小説(たとえば『梅蘭芳』、『女優』)、また当地の文化を紹介した散文(『北京夢華録』など)を掲載している。『盛京時報』の購入により、これらの記事を詳細に検討することができた。旗人である作者の体験を通して描かれたこれらの作品から清末民初の旗人たちの生活や文化を知るとともに、彼らが置かれていた状況を知ることができる。特に北京西郊の旗営の辛亥革命前後の旗人たちの窮状や彼らを取り巻く社会状況に関する記述は、他の資料と比べて具体的であり、本研究課題に資するところは大きい。また、『盛京時報』には旗人出身の作家である王冷佛の作品も掲載されており、今後検討・分析をおこなう予定である。 2.上海図書館にて閲覧したいくつかの社会調査資料によって、辛亥革命後の旗人の状況について具体的に知ることができた。とくに李景漢「北平郊外之郷村家庭」、楊汝南「北平西郊六十四村社会概況調査」は辛亥革命後の北京西郊の旗営のあった地域を調査しており、辛亥革命後の旗人の生活状況や民族差別の実際について新たな知見を得ることができた。
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