2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510483
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 美重子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (40251871)
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Keywords | 敦煌文書 / 教訓書 / 学校 |
Research Abstract |
先に提出した平成15年度研究計画書に基づき、前年度からの継続課題であった、基礎資料文献の解読を重点的に行った。その結果、「太公家教」の定本と訳注の作成が完了し、「百行章」について今年度、試みに新たに「抄本対校表」を作成し一覧表で「校記」を示し、その上で訳注を作成した(その成果は報告書の資料篇に載せてある)。 敦煌の童蒙教訓書と学校の関連を明確にするため、「学生、学郎、学土郎」と称される人々による書写を示す、所謂「学郎題記」を持つ抄本を収集し、文献の内容・性格によって分類して、「教訓書」の分出を試みた(この成果も報告書の資料篇に「学郎題記リスト」として載せた)。学郎題記のある「教訓書」の文献名と抄本点数は次の通りであった。 「太公家教」(9点)、「王梵志詩(一巻本)」(4)、「新集厳父教」(2)、「百行章」(2)、「崔氏夫人訓女文」(l)、「〓〓書」(1)、「新集文詞九経抄」(1)、「楊満山詠孝経詩」(1)「王梵志詩(一巻本)」と「楊満山詠孝経詩」以外の文献については、基礎的な調査は完了し、報告書の研究篇にその成果を載せた。 前年度の実績報告で次年度の研究課題としてあげた「教訓書」と「類書」の関連の調査については、今年度、敦煌類書についての総体を把握すべく初歩的な調査を行った上で、教訓的言葉を集めた通俗的類書である「新集文詞九経抄」における「老子」「荘子」の引用例を検討して通俗的類書の問題点を指摘し、「敦煌の通俗類書『新集文詞九経抄』について」という一文を発表した。「類書」の規範化の作用については、まだまだ研究の余地は大きい。今後の課題とするものである。
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Research Products
(1 results)