2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510498
|
Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
中 純子 天理大学, 国際文化学部, 講師 (00248189)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 茂 大阪市立大学, 文学部, 教授 (30134430)
|
Keywords | 碧〓漫志 / 唐代音楽 / 白居易 / 宋代文献 |
Research Abstract |
平成十四年度において、中と齋藤は南宋の王灼の『碧〓漫志』全五巻のうちの第一巻と第二巻について、それぞれ訳注を作成し、共同で検討していった。それによって、王灼が「古」を尊ぶ音楽観をもつこと、音楽に合わせてうまく作られた宋代の詞に対して抵抗感を持ち、心情の発露としての詩が自然に歌われるという「古」の詩歌のあり方に注目していることが理解された。また宋代の詞の流派のなかで柳永などを嫌い、蘇東坡を高く評価していることが窺えた。そうした王灼の音楽認識を見定めることが、本研究の一つの目的である唐代音楽資料としての宋代文献の再考へとつながると考える。それを土台として巻三から巻五に記された唐代音楽の記載を更に検討していくことが平成十五年度の課亀の一つである。 また、中は王灼『碧〓漫志』や沈括『夢渓筆談』の音楽に関する記述などには必ず引用され、宋人が唐代音楽を考察する際の資料の筆頭にあげられている白居易の詩篇について、その音楽に関わるものを、本研究補助金で購入した四部叢刊のCD-ROMの検索機能を用いて再検討した。それによって、白居易が「新楽府」を制作したころより、音を詩篇に表現することに神経をつかい、晩年の洛陽分司時期においては周囲の音環境をも自分で整えていくほどの音への執着をもっていたことを考察した。そのような白居易の音に対するこだわりは、ほかに例をみることが難しく、その詩篇に表現された音楽が宋人やそれ以降の人々の唐代音楽に対する認識に与えた影響は大きいと考える。
|
Research Products
(2 results)