2003 Fiscal Year Annual Research Report
英語における出来事性と統語形式との間にみられる認知的図像性の基礎的研究
Project/Area Number |
14510503
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安井 泉 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 教授 (00110578)
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Keywords | 認知意味論 / 完成動詞・達成動詞 / 出来事の構造 / 副詞 / 相動詞 / 主語・目的語の複数性 / holistic, incremental / eventuality |
Research Abstract |
近年の認知意味論の影響を受けている意味研究は、精緻な意味理論を展開し、不規則にみえる統語的現象を極めて規則的現象として説明可能であるという研究を進めている。本研究では、人間が何をどう認識しことばに表しているのか、英語における出来事の認識とその統語形式を例に明らかにしている。英語の動詞表現が表すactivity, accomplishment, achievement, semelfactive, stateという出来事(eventuality)の構造が明らかにされ、出来事の構造を人間はどのように認識し、その認識を適格に聞き手に伝えるために話し手は自分の認識をどのように統語構造に写し取っているのかという意味と統語形式との図像的関係を精査に研究している。完成動詞といわれるaccomplishmentにみられる状態の変化は、(i)何もないところから完成を目指すcreation、(ii)完成しているものを食べたり、壊したりしながらゼロをgoalに目指すconsumption / destruction、(iii)完成しているものが、異質のものに変化するchange of stateの大きく3つに分けることができると考えられる。完成動詞とhalf(変化が半分まで)という副詞との共起性とその解釈を検討することによって、集合のmemberが全体として徐々に変化が進み、均質的に変化の途上にあるという解釈を許すholistic変化とその解釈を許さずmemberの半数は変化を完了しているが残りの半数は無変化であるというincrementalな変化とがあることがわかり、その統語形式への反映と検討し始めている。今後は、in sixty secondsなどの時の副詞やalmostなどの副詞が修飾するのは、出来事の構造の5つのレベル(occurrenceレベル、onsetレベル、processレベル、goalレベル、resultレベル)のうちのどのレベルと関係してくるのか、主語・目的語の複数性と文全体の意味との関係、出来事のタイプ(activity, accomplishment, achievement, semelfactive, state)との関係などを精査に検討した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 安井 泉: "市河賞を受賞して「音声学の中の意味論」"語研ジャーナル(The IRLT Journal)語学教育研究所. 第2号. 65-65 (2003)
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[Publications] 安井 泉: "Question Box"『英語教育』2003年4月号、6月号、8月号、10月号、12月号、2004年2月号. 52巻 1, 3, 5, 7, 10, 12号. (2003)
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[Publications] 安井 泉: "アリスの国の話はつきない(35)-(40)"The Looking-Glass Letter(日本ルイス・キャロル協会). 69号-75号. (2003, 2004)
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[Publications] 安井 泉: "市河賞の三十五年の軌跡(出来事をどうとらえどう表すか)"開拓社. 359 (2003)