2003 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀の英国における文体的「洗練」への指向性と次世紀の作家に与えた影響の検証
Project/Area Number |
14510522
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
脇本 恭子 岡山大学, 教育学部, 助教授 (00258295)
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Keywords | 英語学 / 英語教育 / 社会言語学 / コーパス言語学 / 文体 / Sentimentalism / Samuel Richardson / Pamela |
Research Abstract |
平成15年度も、現在の所属が教育学部という特性を生かして「英語学」と「英語教育」という2つの大きな学問領域を土台にした研究を深める一方、英語学本来の枠組み、とりわけ歴史的観点から文学作品の言語を考察する「英語文献学」という専門性に重きを置いた調査・研究を精力的に押し進めていった。その調査・研究から得たデータを、平成15年8月には"The 44th Summer Seminar of the English Research Association of Hiroshima"(於:広島大学千田町キャンパス)において"Negative Expressions as Social Markers : A Socio-stylistic Approach to Richardson's Pamela"というタイトルで口頭発表した。さらに,10月には、日本英文学会中国四国支部第56会大会(於:高知大学)のシンポジウムの発表の依頼を受け、「RichardsonのPamelaを語学的に読む:否定表現を中心として」を口頭発表した。その発表内容は、RichardsonのPamelaを否定表現の頻度や種類においてDefoeのRobinson Crusoeをはじめとする18世紀の代表的な作品数編と比較・検討したもので、Richardsonの文体的技巧の一端を探ることをねらいとしている。言葉の性差や小間使いと主人という身分による差を調べるなど社会言語学的観点からの分析法も採り入れていった。このシンポジウムは、文学と語学の接点を問いかけるもので、その統一テーマは「文学作品を語学的に読む」であり、5人の発表者がそれぞれの専門分野を生かして18世紀から20世紀に至るまでの文学作品について文体論の立場から多面的に考察し、司会者がそれらの考察をまとめていったものである。
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