2002 Fiscal Year Annual Research Report
17世紀後半のイギリスにおける市の演劇と内乱期のパンフレット演劇
Project/Area Number |
14510534
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
南 隆太 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (60247575)
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Keywords | イギリス演劇 / 初期近代イギリス文化 / 王政復古期演劇 / 内乱期 / パンフレット演劇 / 人形劇 / 市(フェア) |
Research Abstract |
4年間にわたる本研究の最初となる平成14年度は、17世紀後半から18世紀のイギリス各地の市(fair)で行われたさまざまな演劇的興行の実態と、市で上演される演劇的な作品と正規の勅許劇場における演劇活動との関係を、できるだけ広い視点から眺め、今後の研究をより有効に展開できるよう、当時の演劇的な興行や活動の全体像をまず把握できるように17世紀から18世紀の演劇を含む当時の社会と文化に関する一次資料の調査・研究を主に行った。とくにバーソロミュー・フェアに関する資料は一次資料・二次資料ともかなり多くの資料が残っているため、バーソロミュー・フェアを中心にロンドンのフェアの芝居小屋での上演作品、イギリスにおける旅役者の移動やロンドンの劇場での出演回数と役柄、同一作品の再演の頻度などを確認するとともに、オペラやパントマイム、人形劇の流行とその上演のあり方を調査した。内乱期のDavenantの演劇的作品や王政復古期の演劇に見られたスペクタクルを志向する観客の嗜好は、イタリアのオペラやバラッド・オペラ、パントマイムの流行はもとより人形劇に至るまで、17世紀後半から18世紀の市における演劇的作品群にも顕著に表れていた。本年度はとくに市で上演された人形劇に注目し、15世紀から18世紀までの人形劇上演作品と上演方法および受容のあり方を歴史的に長いスパンで辿ることで、民衆的・大衆的な市における演劇的娯楽作品の保守性と革新性、および高級文化と大衆文化との混淆のありかたを考察した。この研究成果の一部は論文集『演劇都市はパンドラの匣を開けるか』(ありな書房)に「人形劇の政治学」として発表した。 平成15年度は本年の研究をさらに深め発展させ、18世紀前半の演劇および興行形態の変化と市における演劇興行との関係を、演目と役者の移動を中心に研究する予定である。
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Research Products
(1 results)