2003 Fiscal Year Annual Research Report
巡礼地ダーグ湖の<聖パトリックの煉獄>をめぐる文学の研究
Project/Area Number |
14510546
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三神 弘子 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (20181860)
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Keywords | ダーグ湖 / シェイマス・ヒーニー / パトリック・ガヴァナー / デニス・デヴリン / ウィリアム・カールトン / ショーン・オファエロン / 巡礼文学 / アイルランド |
Research Abstract |
1.昨年はシェイマス・ヒーニーの連作詩'Station Island' (1984)の分析を中心に行ったが、本年度は、ヒーニー以前に書かれたダーグ湖巡礼に関する文学作品の分析をおこなった。対象となった作品は、年代順に並べると、William Carltonの散文'Lough Derg Pilgrim' (1829) (Traits and stories of the Irish peasantryに収緑)、1940年代に書かれたPatrick KavanaghとDenis Devlinによる同名の詩'Lough Derg'2篇、1950年代に書かれたSean O'Faolainの短篇'Lovers of the Lake'である。また、ベストセラーとなった現代の旅行記McCarthy's Bar : A Journey of Discovery in Ireland (2001)なども視野に入れ、アイルランド社会の変化を概観した。 一連の作品を俯瞰したとき、カールトン以降、ダーグ湖がいかにアイルランドの近現代文学のトポスとしての磁力を持ち続けてきたか、また、かの地における巡礼が、自己と社会を再考する上で大きな役割を果たしてきたかについて、比較検討をおこなった。 2.Dr.Anne McCartneyと、日本とアイルランドとの巡礼の有り様を比較するための資料として、高群逸枝の『娘巡礼記』の一部を英訳した。平成15年8月に、三神はアルスター大学を訪問し、討論を進めた。 3.アイルランド詩人、ポール・ダーカン氏、早稲田大学名誉教授虎岩正純氏を講師に招き、「ダーグ湖をめぐる文学」に関する研究会を行った。ダーカン氏のカヴァナーとデヴリンの詩の分析、虎岩氏の平成15年夏のダーグ湖での贖罪巡礼の報告がなされ、意見の交換が行われた。
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