2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510555
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
和田 葉子 関西大学, 外国語教育研究機構, 教授 (00123547)
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Keywords | Ancrene Wisse / 原作 / 受容 / 中英語 / フランス語 / 修道女 / 読者層 / 写本 |
Research Abstract |
Ancrene Wisseには英語、フランス語、ラテン語のテキストが現存するが、これは13世紀当時の言語状況を反映している。今年度、注目した写本は14世紀初期に書かれたとされるLondon, British Library, Cotton Vitellius F viiである。この写本にはかなり正確に写されたフランス語によるAncrene Wisseのテキストが収録されている。原作に非常に近いと考えられている英語のテキストと共通する内容の箇所が複数あり、英語による原作が成立してすぐにフランス語版が出来上がったのではないかと推測される。それに加えて、明らかになっているVitellius写本の所有者の家系を調査した結果、原作と深い縁があったと考えられる土地、すなわちHerefordのWigmore及びShropshireのLudlowと強い関わりをもっていた何人かの人物にゆきついた。 大英図書館とケンブリッジ大学図書館の写本室において、Ancrene Wisse及び、その他、14世紀に托鉢修道士や修道女によって読まれ、あるいは筆写されたと考えられる写本を調査した。日本でも研究を支障なく続けられるように、必要な写本のマイクロフィルムを購入した。当時のイギリスの社会、政治、宗教、文化の背景についても、精力的に資料収集・調査を行った。版権が許す限りのページをコピーし、貴重図書のマイクロフィルムも購入したので、帰国してからも必要に応じて役立てることができた。イギリスでは、中世写本や歴史的背景に関連する講演会に積極的に参加して、中世文学及び、中世史を専門とする外国人学者との交流も活発に行い、新しい情報交換をしながら研究を進めた。
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Research Products
(6 results)