2003 Fiscal Year Annual Research Report
フランス現代詩の詩空間の生成に対する〈俳句〉の影響の比較的総合研究
Project/Area Number |
14510562
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
VILLAIN Franck 筑波大学, 外国語センター, 外国人教師 (20334071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川那部 保明 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 教授 (10169740)
有吉 豊太郎 筑波大学, 文芸・言語学系, 教授 (00039984)
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Keywords | 俳句 / イヴ・ボンヌフォア / 解体 / フランス現代詩 / フィリップ・ジャコテ / 空の場 / ジャック・デュパン / 自己消去 |
Research Abstract |
本年度の研究は、20世紀という時間の流れのなかで、俳句がどのようにフランスに影響を与えてきたかを確認し、そこに生じる問題点を浮き彫りにすることであった。 20世紀当初のフランスにおいては、俳句はさまざまなかたちで紹介され、またフランス語での俳句製作も試みられはしたが、総体としてはたんなるエキゾチスムの域をでていなかった。この状態が第二次大戦期まで続いたあと、俳句へのあたらしいアプローチがなされ始めたのが、1960年代であった。俳句は、とくに<自己消去><言葉の消去>というかたちで当時の詩人たちに理解され始める。しかしその理解は多分に、フランス現代詩の問題意識に引きつけたかたちでなされたものであり、俳句固有の世界の理解がまずあったうえでなされたものとはいえない。たとえば季語等を核とする俳句の詩的世界の緊張を十分に理解したうえで、そこから彼らの詩作への影響を得るというものではなかった。 この点をふまえ、俳句とフランス現代詩それぞれの詩世界の本質をいまいちど根本から比較検討するために、2003年12月6-7日東京日仏会館においてEcriture du peu et le haiku(微少のエクリチュールと俳句)と題する国際学会を開催し、フランスからの招待を含め4名のフランス人研究者と、8名の日本人研究者の研究発表をとおして、研究交流をおこなった。そこで扱われたテーマは、ボンヌフォア、ジャコテ、デュパン等の現代詩人たちにおける<微少性>、俳句における<微少性>、俳句と禅の関係、空の考え方と芸術の関係、等であった。
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Research Products
(1 results)