2003 Fiscal Year Annual Research Report
混成語(ピジン・クレオール)を通してみるカリブ海文学の全体像
Project/Area Number |
14510567
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
恒川 邦夫 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 教授 (60114956)
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Keywords | クレオール / カリブ海 / 仏ギアナ / ブシナンゲ / アメランディアン / モング / ネグリチュード / レオン=ゴントラン・ダマス |
Research Abstract |
平成15年度は以下に記す活動を通して、カリブ海域のクレオール語を含む言語状況・文学についての識見を深めた。 (1)3月5日から4月12日に至るマルチニック島におけるフィールドワーク。エメ・セゼールの政治活動をよりよく知るために、市長時代に助役だったカミーユ・ダルシエール、アリケールなどの長老たちに会って、話を聞いた。また詩人のロジェ・パルスマン、テレーズ・レオタン(クレオール語表現の女性作家)などとからも聞き書きをした。(以上はアンティル=ギアナ大学の招聘に応じたもの。) (2)6月21日から7月3日まで、マルチニック島でエメ・セゼール90歳記念シンポジウムに参加した。自ら研究発表をする傍ら、シンポジウムに集まってきた欧米、カリブ海諸島、アフリカの知識人たちと意見交換し、学ぶところ大であった。(これについては12月に浩瀚な論文集が刊行されている。) (3)12月5日から平成16年1月12日まで、再び、アンティル=ギアナ大学から招聘されて、マルチニック島にフィールドワークに出かけた。詩人モンショアシとの交流。 (4)平成16年3月12日から31日まで、仏海外県ギアナに科研費による調査旅行を試みた。首都カイエンヌの大学とギアナ出身のネグリチュード詩人レオン=ゴントラン・ダマス友の会で二つの講演をした。とくに「友の会」においては、ダマスの代表作「しゃっくり」を日本語に全訳して聴衆に披露した。その後、スリナム国境の町サン=ローラン=デュ=マロニまで移動。その町の語り部やアメランディアン、ブシナンゲ、モング(ラオスから連れてこられた移民)などの部落を訪ねた。 なお最終年度の平成16年度は、以上の調査を踏まえて、知見を整理し、可能ならばインド洋上の仏クレオール空間:モーリシャスやレユニオン島を訪れ、報告書を完成する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 恒川邦夫: "Aime Cesaire et le Japon"La Tribune des Antilles. No.38. 19-21 (2003)
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[Publications] 恒川邦夫: "エメ・セゼールの《誕生会》"世界(岩波). 12月号. 186-192 (2003)
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[Publications] 恒川邦夫: "La negritude a deux vitesses-A. Cesaire et L-S. Senghor"Aime Cesalre-une pensee pour le XXIe siecle. (Actes). 119-128 (2003)
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[Publications] 恒川邦夫: "E.グリッサン著『レザルド川』翻訳と後書き"現代企画室. 305 (2003)