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2002 Fiscal Year Annual Research Report

リベルタン小説における身体について

Research Project

Project/Area Number 14510575
Research InstitutionHiroshima Jogakuin University

Principal Investigator

宮本 陽子  広島女学院大学, 文学部, 教授 (90229899)

Keywords身体 / リベルタン / 快楽 / 放蕩(リベルティージュ) / 欲望 / 感受性
Research Abstract

ラクロの『危険な関係』に登場する女性リベルタン、メルトウイユ夫人は、言語運用能力においても行動力においても男性リベルタンより優れていると言ってよい人物である。しかし、男性中心主義に浸透された貴族社会にあって、男性リベルタンと能力を競おうとするメルトゥイユ夫人が名誉を失うことなく、放蕩や陰謀に耽ることができるのは、ひとえに、自らの感情を押し殺し、自らの身体までも疎外するという、苦しい自己教育と自己努力の賜物である。欲望も情念も快楽も、彼女にとっては装うべきものであって、感ずるべきものではなく、身体も他者に差し出すべきものとなっている。
メルトゥイユ夫人と好対照をなす人物、トゥールヴェル夫人は、ヴァルモンと恋に落ちることによって、身も心も無条件で彼に譲渡し、そのために自らとヴァルモンの破滅を招くことになるが、メルトゥイユ夫人もまた、自分自身を完全にカントロールしようとするあまり、自分を誰にも譲り渡すまいとするあまり、身も心も疎外する結果となっている。物語の結末で、正気を失ったトゥールヴェル夫人は4人の人間でも抑えることができないほど荒れ狂い、メルトゥイユ夫人ほ天然痘によって美貌を失い、「裏返しになった」と評されることになるが、病と狂気を体現するこうした女性たちの身体をとおして、理性によって封じ込められていた力が最後の抵抗を誇示しているように思われる。

  • Research Products

    (1 results)

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All Publications (1 results)

  • [Publications] 宮本陽子: "抗争の場としての放蕩(リベルティナージョ)"広島女学院大学人間社会文化研究. 創刊号. 37-48 (2003)

URL: 

Published: 2004-04-07   Modified: 2016-04-21  

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