2002 Fiscal Year Annual Research Report
言語行動と伝達能力に関する日独対照社会言語学的考察
Project/Area Number |
14510582
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 仁 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (70243128)
|
Keywords | 言語行動 / 伝達能力 / コミュニケーション能力 / ポライトネス / 対照社会言語学 |
Research Abstract |
平成14年度はこれまでに収集したデータの一部を分析し、その成果を9月22日に東北大学で開催された社会言語科学会のワークショップ(発表題目:「ポライトネスとコミュニケーション能力」)、および9月28日に新潟大学で開催された日本独文学会国際会議(発表題目:"Hoflichkeit als Kommunikative Komperenz")で発表した。その後、ドイツのデュースブルク大学へ行き、ウルリヒ・アモン教授と今後の研究について意見交換を行った。これらに先立つ8月6日には、大阪大学言語文化部で韓国語およびドイツ語の研究者らとともに社会言語学に関する研究会を開催し、言語とイデオロギーの問題について話し合った。社会言語科学会のワークショップでは、ドイツ語研究者の丸井一郎、ルドルフ・ライネルト、日本語研究者のJ.V.ネウストプニー、および岡本能理子とともに『ヨーロッパから見た「ポライトネス」』について議論した。さらに、こうした研究活動が文部科学省によって採択されたCOE研究プロジェクト「インターフェイスとしての人文学」に適合するとの判断から、平成14年11月より言語文化部からのメンバーとなった。このプロジェクトは、研究と教育との橋渡しをしようとという本研究の主眼とオーバーラップし、内容的にも日本人の言語行動を社会言語学の観点からとらえようとする本研究の対象と重なる部分が認められる。また、平成15年2月17日および18日に大阪大学人間科学部で開催された三島憲一氏主催のワークショップ(発表題目:"Zur Stellung der deutchen Sprache in Japan")にも参加し、韓国のゲルマニストとともに日本および韓国のドイツ語・ドイツ文学研究の危機について議論した。ここでも本研究に関連する社会言語学的な観点から、今後の日韓の対照研究の可能性などの問題提起を行った。なお、今年度は新たなアンケート調査や観察調査は実施せず、主に理論的な議論の検討に従事した。今年度口頭発表した内容はドイツ文学会の学会誌「ドイツ文学」、言語文化共同研究プロジェクト2002、その他で発表する予定である。
|