2002 Fiscal Year Annual Research Report
古期ドイツ語の二大作品『ヘーリアント』と『オットフリート』の語彙の総合的対比研究
Project/Area Number |
14510585
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 輝和 岡山大学, 文学部, 教授 (90039793)
|
Keywords | 古高ドイツ語 / 古低ドイツ語 / 古ザクセン語 / オットフリート / ヘーリアント / ザクセン語の創世記 |
Research Abstract |
本研究は、9世紀ドイツの二大韻文作品『ヘーリアント』(『古ザクセン語の創世記』を含む)と『オットフリートの聖福音集』の全語彙を単一の辞書にまとめて総合的に対比することによって、両作品の語彙の共通点と相違点を分析して、語彙に現れた共通する世界観と作品固有の世界観の相違を解明しようとするものである。 この二つの作品のドイツ語は異なった方言であるために、単純に単一の辞書にまとめることは不可能である。そこで語彙数の多い『オットフリート』の全語彙項目、約3,400をまずコンピューターに人力した。次に『ヘーリアント』の全語彙項目、約2,900のうちで、『オットフリート』の語彙項目に語源的に対応するものを、それに並べる形式で入力した。例えば『ヘーリアント』のa-biddian「頼んで得る」は『オットフリート」のir-bitten「頼んで得る」と、writan「書く」はri3an「書く」と語源的には同一語であるので、並べることができる。共通しない語彙項目は単純にabc順に入力した。 この作業の結果として、双方の語彙で、共通する項目と共通しない項目とが一目瞭然となった。 次に両作品のテキストや写本写真、さらには注釈、語彙、文法に関する文献を参照しつつ、各語彙項目の全用例(総語数は『オットフリート』が約60,000、『ヘーリアント』は約50,000)を検討して、その意味と代表的な用例を入力し始めたところである。 これまでの作業によって、同一の語彙項目であっても、必ずしも同じ意味、あるいは同じ統語法で使われている訳ではない場合のあることが多々判明している。 次年度は、さらに他の古期ドイツ語の作品に関する文献をも参照しつつ、この作業を継続して行く。
|
Research Products
(1 results)