2003 Fiscal Year Annual Research Report
ファンタジーの力(ホフマン、グリム兄弟、エンデを中心に)
Project/Area Number |
14510589
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
梅内 幸信 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (00145450)
|
Keywords | ファンタジー / 童話 / ロマン主義 / ホフマン / グリム兄弟 / エンデ / 精神分析 / 深層心理学 |
Research Abstract |
研究報告 課題研究の2年目に当たる本年度の研究成果は、主として以下の3点である。 1.初年度に続き、ホフマン文学・グリム童話・エンデ文学に関する書籍・ビデオによる資料を収集した。 2.奈良教育大に出向き竹原研究室で、グリム童話ならびに日本昔話に関する資料と情報を収集した。 3.「グリム童話におけるファンタジー」に関して3本の論文、フロイトの精神分析に関する論文1本、グリム童話の翻訳(4編)を発表した。加えて、日本独文学会秋季研究発表会(東北大学)において1つの口頭発表を行なった。 本年度の主要課題の1つは、グリム童話『兄さんと妹』と『太鼓たたき』に関する資料を収集・読解・分析することであった。前者に関しては、すでに論文として発表した。後者に関しては、2003年度の日本独文学会秋季研究発表会日本独文学会(東北大学)で口頭発表したが、これをドイツ語の論文として、今年度の『ヘルダー研究』(第10号)に掲載予定である。同時に、『死神の名付け親』に関しては、「炎の象徴学」と題して、今年度の「人文学科論集」(前期号)に発表する予定である。 もう1つの主要課題は、「ホフマン文学におけるファンタジー」に基づいて「エンデ文学におけるファンタジー」に関する考察を進めることであった。とりわけ、エンデの『モモ』を取り上げ、その「時間」のテーマに関する分析に取り組むことであった。ファンタジーの概念規定に関しては、おおよそ論文としての構想が固まったので、2004年度の日本独文学会秋季研究発表会(北大)で発表する予定である。同時に、エンデの『モモ』における「時間論」についても構想が固まりつつあるので、2005年度の秋季研究発表会(京大)で発表する予定である。従って、細部の詰めは未だ残されているが、本年度の課題は概ね果たされたと言える。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 梅内幸信: "アニマの変容-『十二人兄弟』(KHM9)の深層心理学的解釈-"稲元萠先生古稀記念 ドイツ文学・語学論集. 83-104 (2003)
-
[Publications] 梅内幸信: "過保護に育てられた姫の悲壮な決意-『ガチョウ番の娘』(KHM89)の深層心理学的解釈-"研究年報(慶應義塾大学独文学研究室). 20. 73-93 (2003)
-
[Publications] 梅内幸信: "フロイト-性愛の精神分析学者"知のポリフォニー-テキストによる人文科学入門-(松柏社). 37-53 (2003)
-
[Publications] 梅内幸信: "美しき兄妹愛-『兄さんと妹』(KHM11)に見られるアニマとアニムスの相互補償的関係について-"鹿児島大学法文学部紀要「人文学科論集」. 58. 21-44 (2003)
-
[Publications] 梅内幸信: "新訳グリム童話4編-KHM9,11,12,15-"鹿児島大学法文学部紀要「人文学科論集」. 59. 1-32 (2004)