2002 Fiscal Year Annual Research Report
認知言語学的観点を取り入れた格助詞の意味のネットワーク構造解明とその習得過程
Project/Area Number |
14510615
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
森山 新 お茶の水女子大学, 留学生センター, 助教授 (10343170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長友 和彦 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (60164448)
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Keywords | 認知言語学 / 格助詞 / 習得過程 / 放射状カテゴリー / 意味構造 / 多義語 / 第二言語習得 / 日本語教育 |
Research Abstract |
1.先行研究分析 先行研究の中で、(1)格助詞の習得を扱った研究、(2)格助詞の多義性に関する認知言語学的研究、(3)第二言語習得を扱った認知言語学的な研究を収集し、整理した。 2.認知言語学的観点からの格助詞の意味構造分析 先行研究を参考にしつつ、多義語としての格助詞の意味構造を研究した。研究対象として格助詞ヲ、ニ、デ、ガを扱い、その成果は論文として発表した(11.研究発表参照)。それによれば以下の内容が明らかになった。 (1)格助詞デは場所用法を中心とし、共通のスキーマ(前景を構成する動作連鎖に対し、ある背景を明示化する)を共有しつつ放射状カテゴリー構造をなしている。 (2)格助詞ニは「ガ格を起点とする移動の着点で、典型的には能動的参与者としての人を表す」用法(与格用法)をプロトタイプとし、「ガ格を起点とする動力連鎖の目標領域にありながらも、ガ格からの動力の影響下に存在せず、ガ格から独立的に対峙している」という共通のスキーマを共有しつつ、放射状カテゴリー構造をなしている。 (3)格助詞ヲの研究は現在投稿中であり、格助詞ガの研究は現在進行中である(一部内容は日本言語文化学研究会の講演「ハとガ:認知言語学的考察」(12月)で紹介された)。 またこれら格助詞の習得順序について認知言語学的な解釈を試み、「日本語の格助詞習得はどのようになされるか」として発表されている。それによれば、格助詞の習得や誤りが生じる過程には意味的要因や認知的要因が深く関与している可能性が示された。 3.その他 その他こうした多義語としての格助詞をどのように教えるかといった研究も進めており、その成果は「認知言語学を活かした日本語教育」(お茶の水女子大学留学生センター第2回教員研修)、「認知言語学的観点からの教授法・教材分析」(韓国・同徳女子大学校での集中講義)で紹介した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 森山新: "認知的観点から見た格助詞デの意味構造"日本語教育. 115. 1-10 (2002)
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[Publications] 森山新: "認知的観点から見た格助詞ニの意味構造"外国語教育(大韓民国). 10-1. 229-243 (2003)
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[Publications] 森山新: "日本語の格助詞習得はどのようになされるか"東亜日語教育国際研討会論文集(中華人民共和国). 上. 38-52 (2002)