2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハンガリー語動詞接頭辞の意味と機能-認知言語学的研究
Project/Area Number |
14510619
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
早稲田 みか 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (30219448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 広和 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80273738)
岡本 真理 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10283839)
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Keywords | ハンガリー語 / 動詞接頭辞 / 意味論 / 認知言語学 |
Research Abstract |
本研究では,動詞接頭辞の多義性とその意味構造を明らかにするために,最終年度の今年度は,使用頻度が高い主な動詞接頭辞meg,fel,le,ki,be,atについて,次の作業を行った. ・各動詞接頭辞のプロトタイプ的意味を認定する. ・複数の意味の相互関係を明らかにする. ・複数の意味すべてを統括できるような枠組みを探求する. その結果,次のような知見が得られた. ・ハンガリー語動詞接頭辞のプロトタイプ的意味は,空間関係を表す中心イメージスキーマあるいは基本イメージスキーマとして記述可能である. ・ハンガリー語動詞接頭辞の多義的な用法は,基本イメージスキーマの変換という意味拡張プロセスによってある程度説明されうる.すなわち,イメージスキーマの一部を焦点化したり,背景化することによって,あるいは,イメージスキーマの適用される概念領域を具体的領域から抽象的領域へと変化させることによって,意味拡張が行われる.このプロセスには,比喩(メタファー,シネクドキー,メトニミー)が関連している. ・イメージスキーマを使った分析により,複数の異なる意味の関連性を図式化することができる. ・空間と時間の両方に関係する意味をもつ語の場合,意味拡張は空間から時間へ一方向的である. ・語の意味を研究するにはある語を単独で取り出し,その意味の構造化をはかるだけでは不十分で,その語と意味的に関連のある他の語の意味との比較が不可欠である. 今後の課題として次のような問題点が浮かび上がった. ・抽象度が高い接頭辞megのような場合,意味記述がイメージスキーマでは困難である. ・抽象的な用法など,容易に図式化できない事例も数多くある.
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Research Products
(2 results)