2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゲルマン語動詞体系成立に関する非ブルークマン的モデルからの研究
Project/Area Number |
14510624
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 俊也 九州大学, 大学院・言語文化研究院, 助教授 (80207117)
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Keywords | 比較言語学 / 歴史言語学 / 非ブルークマン的再建モデル / アクティヴ仮説 / 印欧祖語 / ゲルマン祖語 / 過去現在動詞 / 強変化動詞 |
Research Abstract |
当初の研究計画に沿って3年間で完成する論考のうち、今年度仕上げる目標として、次の3点を目指してきた。 (1)非ブルークマン的モデルに基づいて想定される印欧祖語動詞体系の詳細を、十分な経験的証拠を付して論じる。(言語類型論の理論からの裏付け、また各印欧諸語に観察される特異性を、新たなモデルで一貫した説明を与えることが可能あることを論証する。) (2)文献期のゲルマン語に現われる14の過去現在動詞の特性を、他の印欧諸語での対応する動詞の特性と合わせてスペルアウトする。(特に、伝統的に想定されてきた、e-階梯の単純な形態の現在形が祖語において存在しえなかったという論証、また、過去現在動詞と同根の古い形の行為者名詞が存在しないことから元々過去現在動詞は、非行為者的な状態を現わす動詞であったという論証を行う。) (3)ゲルマン祖語期には過去現在動詞と同じステイタスだったと思われる動詞を再建し、それを支持する経験的証拠をスペルアウトする。(特に、従来から指摘されてきた、ゲルマン語の動詞体系で特異性を見せる2つの動詞から、また他の印欧語派の特定のグループの動詞から、それらの再建を行う。) これらの点を英文原稿に現わすことにより、今年度の目標をほぼ達成することができた。さらに当初の研究計画に基づき、平成15年3月下旬に渡英し、当該の英文原稿について知己の英国人研究者にレビューを受けることを実現した。 当研究に関連した成果については、学内紀要に独立した1本の論文として公刊した。(次ページ「11 研究発表」参照。)
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