2002 Fiscal Year Annual Research Report
最適性理論における調音的制約と聴覚的制約の役割について
Project/Area Number |
14510625
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
深澤 はるか 九州工業大学, 工学部, 助教授 (50315165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
霜山 純子 九州工業大学, 工学部, 講師 (00336091)
北原 真冬 山口大学, 工学部, 助教授 (00343301)
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Keywords | 調音的制約 / 聴覚的制約 / 最適性理論 / 有標性制約 / 忠実性制約 / 日本語語彙層 / 音韻獲得 |
Research Abstract |
年度の研究計画に沿って、知覚実験の手法を吟味するために、まず「音声連鎖中の言いにくさ」の定量化のための予備実験を行った。実験の結果は現在とりまとめ中である。また、その実験に基づく「言いにくさ」に関する音韻的制約を現在検討中である。 実験と平行して、最適性理論の枠組みで、認知システム内における、調音的制約、具体的には有標性制約と忠実性制約の普遍的な定式化に関する研究を進めた。さまざまな有標性制約の指定の度合いを評価するために、「粒状性」、「階乗的類型論」、「項の数」という観点から3つの方策を提案し、有標性制約の一般的評価方法を検討した。また、日本語の語彙層による分析において、和語や漢語といった層を設定する代表的証拠とされていたNo Singleton P(*P)と連濁という二つの現象の定式化を見直し、明示的な語彙層をもうけることなく、普遍的な音韻的制約のみで多様な音韻現象を正しく分析できることを示した。また、子どもの言語獲得の側面から音韻的制約の研究に着手した。それらの研究を基盤として、今後、音韻に関する言語学理論がどういう方向で発展すべきか、最適性理論が、どのように21世紀の日本の言語学研究に貢献して行かれるかを論じた。 聴覚的な制約、および調音と聴覚の制約の相互作用に関する制約は現在検討中であり、調音的制約の研究と上述の実験結果を基にさらなる検討が待たれる。実験の遂行や言語データ分析にあたって、科学研究費によって購入した機材が有効に用いられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 深澤はるか, 北原真冬: "有標性制約における指定の度合い"音韻研究. 5. 13-20 (2002)
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[Publications] Fukazawa, Haruka, Mafuyu Kitahara, Mitsuhiko Ota: "Constraint-based modelling of split phonological systems"音韻研究. 5. 115-120 (2002)
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[Publications] 深澤はるか: "最適性理論における日本語語彙層の研究の意義"Conference Handbook of the 20^<th> National Conference of the English Society of Japan. 20. 160-165 (2002)
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[Publications] Fukazawa Haruka, Mafuyu Kitahara, Mitsuhiko Ota: "Acquisition of phonological sub-lexica in Japanese : An OT account"Proceedings of the Third Tokyo Conference on Psycholinguistics. 3. 97-114 (2002)