2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本語話者の英語母音の知覚・生成とPerceptual Assimilation
Project/Area Number |
14510635
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野澤 健 立命館大学, 経済学部, 教授 (30198593)
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Keywords | 英語 / 母音の知覚 / 母音の生成 / perceptual assimilation model / 弁別 / 同定 / 知覚同化 / 子音環境 |
Research Abstract |
前年度までに集めたデータを基に、弁別実験、同定実験、日本語の母音の範疇への知覚同化実験の結果を比較検討した。日本語話者の英語の母音の知覚同化が子音環境の影響を受けるか、弁別が容易な対立をなす英語の母音は同定も容易かどうか、弁別が容易な英語の母音は異なる日本語の母音に知覚同化されるかどうかの検証を試みた。対象としたのは、/i/,/I/,/ε/,/ae/,/a/,/Λ/で、/i/-/I/,/ε/-/I/,/ae/-/ε/,/ae/-/a/,/ae/-/Λ/,/a/-/Λ/の6つの母音対立を設定した。子音環境として、先行子音の調音点、先行・後続子音の有声性、後続子音の調音方法を採用した。先行子音の調音点の影響は、軟口蓋閉鎖音の後の/ae/に最も顕著に見られ、この子音環境では、「キャ」、「ギャ」に知覚同化され、/ae/-/a/、/ae/-/Λ/の弁別実験の正答率も他の子音環境に比べて高かった。/i/-/I/の弁別に母音長が手がかりとされているかに関心が持たれたが、無声子音環境では、/i/、/I/ともに「イ」に知覚同化されるが、有声子音環境では/i/は「イー」に、/I/は「イ」に知覚同化されることが多く、/i/-/I/の正答率は有声子音環境で高い傾向が見られた。後続子音の調音点の影響は、/i/と/ae/に強く見られ、/i/は/l/の前では、F1の上昇とF2の低下により/∂/に似た母音が聞こえることが影響していると思われるが、同定実験での正答率が低くなった。/ae/には鼻音の前ではフォルマントの屈折が見られた。生成実験でも、知覚実験で弁別が困難な母音は、生成でも発音の区別が曖昧である傾向が見られた。/CVl/環境で/l/を正しく、発音できないことが日本語話者の英語の母音の発音に影響していることを示す結果も得られた。これらの実験結果の関連を調べるには、さらに細かい分析が必要である。
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Research Products
(2 results)