2004 Fiscal Year Annual Research Report
中世ポルトガル語散文の形成への古仏語の影響に関するパソコンを用いた文献学的研究
Project/Area Number |
14510641
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
黒澤 直俊 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (80195586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 裕司 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (20204703)
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Keywords | 中世ポルトガル語 / 古仏語 / 文献学 / 中世散文の形成 / 聖杯物語 / 写本 / 間テキスト性 / 翻訳 |
Research Abstract |
本年度も前年度に引き続き,1)『聖杯の探索』Demanda do Santo Graalと2)『ヴェスパシアヌスの物語』Historia de Vespasianoについて集中的な研究を行なった.1)については,BogdanowのエディションからPost-Vulgataテキスト群において古仏語オリジナルが存在する部分と中世ポルトガル語テキストの対照表を作成し,体系的に言語特徴を分析した。結果、テキストの中でほぼ1対1で平行しているものと、対応が透明でなく一定のパターンに分解できるものとがあり、今後整理することによって、さらに分析を進めていくことが出来ると考えている。2)に関しては、言語特徴の分析を継続し、本年度は特に完了形など時制関係の分析を行った。その結果、近年一部の研究者が指摘しているように、従来考えられていたより、翻訳の時期が遅く、15世紀後半にテキストの特徴を同定できるものとの感触を得ている。特に、言語特徴の年代的性格については、ポルトガル語では先行する調査、研究があまり行われていないので、上の独自のコーパスデータの研究と平行してポルトガルのリスボン大学による中世語データベースを用い、特定の言語特徴の時代的分布、広がり等について予備調査を行っている これらの作業と平行して、翻訳の分野でテキストの間の影響関係などをコーパスに基づいて研究しているブラジルのサンパウロ大学哲文科学部の翻訳用語研究所と情報交換を行い、コーパスの扱いなども含めて研究方法について検討した。以上,4年間の研究期間の3年目である,本年度の実施計画は十分に遂行されたと考える.
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Research Products
(2 results)