2003 Fiscal Year Annual Research Report
船に見る地中海文明史-ギリシアを中心に古代から現代まで
Project/Area Number |
14510642
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
丹羽 隆子 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (10198541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 寛 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (90016949)
庄司 邦明 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (80092584)
大津 皓平 東京海洋大学, 海洋工学部, 教授 (40016944)
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Keywords | 海のシルクロード / 地中海とインド亜大陸 / 物質文化と精神文化 / 一つの世界 / 三段櫂船 / ヒュポゾーマタ / ホギングとサギング防止策 / 材料力学 |
Research Abstract |
平成15年夏フランス、イタリア、ギリシアの地中海沿岸地域の実地調査を行った。また、古くから「海のシルクロード」を通って物質文化と精神文化の交流が成立していた地中海とインド亜大陸を一つの世界と認識する視点をあらたに加え、昨年にひきつづき、Elsi Spathari著Sailing through Time : the Ship in Greek Artの翻訳ならびに解説を進め、ほぼ完了した。今年じゅうに出版刊行の見通しである。 研究成果の一端を大学の研究報告集に発表した。その他、(1)の国際会議の招待講演と(2)の学会発表も行った。(1)平成15年11月22-23日イタリアのアマルフィで開催された国際会議の招待講演として、古代地中海の木造船は精微な「ほぞとほぞ穴」を用い"shell-first method"工法により建造されていたという海底考古学が発見した新知見をもとに、「オデュッセウスの舟」と「アルゴ船」のヴァーチャルモデルをPC上で建造し紹介、講演をした。講演録が年内刊行予定。(2)平成16年2月23日に開催された東京海洋大学の研究報告会で、「ピレウスの海軍目録」が必須艤装品として義務づけている「ヒュポゾーマタ」の装着場所や方法についての綿密な検証を行い、三段櫂船「オリンピアス号」復元チームが発見した「ヒュポゾーマタは内側に装着するホギング防止索」とする結論が必ずしも決定的なものでないという仮説を、プラトンの著作や「使徒行伝」やエウリピデスの『トロイアの女たち』などの文献史料の分析をもとに、図像に証拠を探りながら考察、発表した。 さらに、以下の予定がある。(3)平成16年5月に東京海洋大学で開催予定の日本航海学会において、「ヒュポゾーマタ」は装着場所によってサギング防止索にもなりうることを材料力学的に考察、発表する。(4)平成16年6月に立命館大学で開催予定の日本西洋古典学会において、ギリシア古典文学、考古学、図像史料に依りながら造船工学的視点から「オデュッセウスの舟」の建造法と「ヒュポゾーマタ」についての考察を行う。
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Research Products
(2 results)