2003 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける日本古典詩歌受容と20世紀日仏文化交差・融合研究
Project/Area Number |
14510648
|
Research Institution | University of Sacred-Heart |
Principal Investigator |
金子 美都子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (90138545)
|
Keywords | 日仏文化交差 / ヨーロッパ俳句受容 / ジャポニスム / 国際俳句 / 日本:フランス / 多文化 / フランス近代詩学 / シュールレアリスム |
Research Abstract |
1 (1)クーシューらの「フランス・ハイカイ」を受けたジュリアンヴォカンス(昨年度着手)に続いて、本年は第3の重要人物ルネ・モーブランRene Maublancについて、フランス国立図書館、ランス市メディアテーク図書館・古文書館に赴き調査・研究し、ラズメイエール氏、モンジャン氏などの協力により次の新しい知見を得た。『ル・パンプル』誌モーブラン偏「ハイカイ特集」が地方都市ランスで創刊されたこと、ランスの名家ドリュアール家と『ル・パンプル』詩の成立、ドリュアール家出自、ランスゆかりの作家シェヴィニェ伯関連、モーブランとクーシューの邂逅、モーブラン詳細経歴、第1次世界大戦後の戦禍のランスにおける日本詩コア日仏ネットワークの実態、ドリュアール兄弟ハイカイ詩集発見等。『朝日新聞』に発表した他、詳細は学会誌発表予定。 2 当時のフランス詩壇と日本古典詩の交差として、(1)ヴィアール氏から示唆されたヴォカンス書簡を通して、ヴォカンスとジャン・ポーラン、エリュアールらと<NRF>の文学的立場を考察中。東大比較文学会偏『比較文学研究』に発表予定。(2)ヴォカンスのミューズ・女性画家マドレール・リュカを軸にフランシス・ジャムの日本古典詩への関連が浮かび上がった。(3)20年代ランスに生まれ、後に、シュールレアリスムへ接近した実験詩グループ「グラン・ジュウ」le Grand Jeuのうち、Roger Vailland, Roger Leccmteは、ハイカイ詩から出発したことを発見。フランス現代詩、抵抗文学へつながる経緯をさらにまとめ学術雑誌に発表予定 3 前年度から着手していたジャポニスムのシェノー論文、ビュルティー論文の「ジャポニスムにおけるキーワード」を抽出。また、初期ジャポニスムが、両者の関心の二特質-シェノーの「生」とビュルティーの「死」-で成立したという知見を得た。「シェノー、ビュルティー:ジャポニスムのキーワード」として学会誌発表予定。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 金子美都子: "ジュリアン・ヴォカンス 絶え間なき命の讃歌-フランスにおける日本詩歌受容とリヨンのエスプリ-"比較文学研究. 83号. 4-16 (2004)
-
[Publications] KANEKO Mitsuko: "Un Hymne a la vie ininterrompue : Introduction de la poesie japonaise et l'esprit lyonnais (resume)"Studies of Comparative Literature. No.83. 8-9 (2004)
-
[Publications] 金子美都子: "俳句への関心生んだ戦争とシャンパン"朝日新聞. 3月15日(夕). 17 (2004)