2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国東北部(旧満州)のバイコフを中心とした白系ロシア人文学の研究
Project/Area Number |
14510649
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
戸塚 隆子 (安元 隆子) 日本大学, 国際関係学部, 助教授 (40249272)
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Keywords | バイコフ / 白系ロシア人 / 満州 / 日露文化交流 / 日露比較文学 |
Research Abstract |
1 バイコフの作品の収集と読解 すでに翻訳されている作品の他、未翻訳の、ペテルブルグで刊行されたロシア語「満州の森林にて」及び、「黒いキャピタン」も収集できた。翻訳があるものについては原書との比較考察中。「動物文学」というジャンルの中で希薄化されがちな帝国主義的教条的表現に着目している。 2 バイコフの日本での受容研究 当時の日本の雑誌、新聞の記事を調査し、想像以上に好意的に受容されていることがわかった。その理由については今後、本研究全体を通して総合的に考察していきたい。 3 満州の自然についての調査 バイコフの書いた「森林」イメージを裏付けるように豊かな樹木の森林が存在し、また、経済的にも満州を侵略する理由となっていることが判明した。満州イメージが広大な平野だけではないことが改めて確認できた。 4 白系ロシア人社会について 満州で刊行されていたロシア人の雑誌、新聞の目録を入手できた。モスクワの図書館にあるものに限られるが、現在収集中。現段階でいえることは、想像していたものより、宗教的なもの、即ち布教に関するものが多く、白系ロシア人の日常生活自体を活写したものは少ない、ということである。 5 満州文化の調査 満州で刊行された「満州日日新聞」など、雑誌・新聞を文学を中心に調査した。満州に留まらず、日本で活動した白系ロシア人著述者の記事などもみつかり、白系ロシア人社会の実態がわかり有意義であったが、「満州文化」とは何か、の答えはまだみつかっていない。 今後継続して考察していきたい。
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