権威的法典籍が近・現代の法学・法実務に及ぼす現実の影響に関する実証的研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14520001
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 大内 孝 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10241506)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小室 輝久 明治大学, 法学部, 講師 (00261537) ; 小山 貞夫 関東学園大学, 法学部, 教授 (30005764)
• Keywords: ブラックストン / イングランド法釈義 / 権威的典籍 / 英米法辞典 / Blackstone / books of authority / law dictionary

Research Abstract

1.近代の法典籍の一つであるブラックストン著『イングランド法釈義』については、その第九版(1783年)を今後の底本とすべきことが前年度の本研究の結果確定したので、今年度はこれを素材として以下の研究を遂行した。2.底本自体が掲げる索引項目を、電子情報化する作業に取り組み、本研究者個人のレベルではそれをほぼ終了した。底本が、全四巻、本文約二千頁にも及ぶ膨大なものであるため、この段階で既に、該当索引項目数が千数百、索引指示対象頁が延べ五千を超えている。この作業は、底本の活字が、コンピュータでの自動読み取りが満足に出来ない旧字体を用いているため、ほとんどすべて手作業による読み取り及び入力によったことから、膨大な手間暇を要した。しかし、同じ事情から、同書の索引項目が完全な形で電子化され公開されている例が世界的に見られないことに鑑みれば、この作業により貴重な基礎資料を獲得したと言いうる。3.底本の索引項目を基礎とする「法律用語・法概念集」の対象用語を確定するために、各種歴史的法律辞典の項目と底本の索引項目との突き合わせ、及び歴史的法律辞典が『釈義』を引用・参照する例の列挙作業を開始した。4.わが国の代表的な英米法辞典所掲の項目につき、同上の作業を開始した。その結果、5.十九世紀から二十世紀初頭にかけての各種法律辞典において、『釈義』はその項目及び内容の双方について非常に影響力が大きく、これがわが国の英米法辞典にもほぼそのまま受け継がれているという、本研究全体の当初の見込みがおおむね確認された。今後は上記3〜5を重点的に追究する。