2002 Fiscal Year Annual Research Report
法曹倫理学の歴史と課題-法曹養成システムにおける法曹倫理教育の観点から
Project/Area Number |
14520006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森際 康友 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40107488)
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Keywords | 法曹倫理 / 法科大学院 / CCBE / deontologie / 法曹一元 / 法曹養成 / 弁護士法 / 弁護士倫理 |
Research Abstract |
初年度は、法曹倫理とその教育に関する内外の現状の把握を行いつつ、法科大学院における法曹倫理教育の内容と方法について具体案を練り、法曹倫理問題の公共化に努めた。情報収集に関しては、国内については弁護士に日弁連の動きや単位弁護士会における実情の聴き取りを、大学教員に法科大学院での教育計画や戦後の法曹倫理思想の聴取調査を行った。国外は、仏・英・独の3カ国で聴取と資料収集を行った。米国の大法律事務所が欧州に進出するに及び、対抗して欧州統一倫理基準が設けられたが、さらに教育面での対応が急がれている。フランスでは、裁判官の法曹倫理は弁護士とは別個のものと捉えられている。それに対し、法曹一元のイギリスでは裁判官への道となっているバリスターの倫理教育がきめ細かく、熱心に行われていた。ドイツでは、法曹養成制度の変革に伴い、これまでの裁判官中心のシステムが、弁護士倫理などをカリに導入したものに変更される。一方、法科大学院における教育内容と方法については、法務研究財団の研究グループおよび名古屋弁護士会法科大学院特別検討委員会法曹倫理部会との合同研究会を設け、私が座長として、教科書作りを主軸に検討を行った。内容に関して、弁護士倫理については、わが国は実定規範の貧困という問題に直面している。また、判事や検察官については、一市民として政治的意見を持ち活動する欧州の裁判官に比べると、あまりにも自己規制が厳しく、倫理問題に直面しづらいという奇妙な現実がある。このような環境でどのような倫理を持った法曹を養成すべきか、具体的倫理問題に即して議論を深めつつある。これらの議論やアメリカの法曹倫理教育担当者との交流を踏まえて、カリにおける法曹倫理の位置づけ、2単位シラバス案などを作成した。また、これらの研究成果と問題意識を公共化すべく、各種の研修会やスタッフ・セミナーなどで発表を続けている。
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Research Products
(1 results)