2003 Fiscal Year Annual Research Report
法曹倫理学の歴史と課題-法曹養成システムにおける法曹倫理教育の観点から
Project/Area Number |
14520006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森際 康友 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40107488)
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Keywords | 法曹倫理 / 法科大学院 / ABA模範規則 / 公共性 / 弁護士職務基本規程(案) / 法曹養成 / 医療における弁護士倫理 / 守秘義務 |
Research Abstract |
第2年度も、私が座長を務める研究会、すなわち法務研究財団の研究グループおよび名古屋弁護士会法科大学院特別検討委員会法曹倫理部会との合同研究会を中心に活動した。法曹倫理とその教育に関する内外の現状の把握を行いつつ、法科大学院における法曹倫理教育の内容と方法について具体案を練り、法曹倫理問題の公共化に努めた。そこで明らかになったことを基礎に、法曹の倫理哲学を構想し、16年度の法科大学院での法哲学の講義でその内実を学生に問う。情報収集に関しては、さらに日弁連などの弁護士倫理研修会に参加し、実態把握に努めるとともに、上記研究成果の一端を参加者と共有した。また、関係大学の教員に聴取調査を行った。国外では、ABA法曹倫理センター主催の全米法曹倫理学術大会に参加、ABA模範規則における、経済的損害に関わる守秘義務規範の変更、医療情報に関する守秘義務に関する討論内容など、先端の問題について最新の情報を入手し、帰国後、各種研究会などで参加者と共有した。8月にはルンド(スウェーデン)での法哲学世界会議で、日本での法曹倫理教育の現状と課題、あり方について報告した。法科大学院における教育内容と方法について、上記研究会で、引き続き教科書作りを主軸に検討を行った。弁護士倫理については、日弁連での執務規程の編纂作業が予定通りに進まず、実定規範の不確定という問題に直面している。また、判事や検事については、自己規制が厳しいので倫理問題が表面化しづらく、研究が進まないという奇妙な現実がある。途上国の現状やわが国の歴史と比較することによってこの限界を超えつつある。このような環境でどのような倫理を持った法曹を養成すべきか、公共性をキーワードに具体的倫理問題に即して思索を深めつつある。その成果を法哲学の講義や法曹倫理のシラバス作成、著作で還元しつつある。また、司法書士会を含めた各種の研修会で講演を続けている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 森際 康友: "リーガル・カウンセリングの倫理問題"月報 司法書士. 377号. 2-7 (2003)
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[Publications] 森際康友, 齋藤隆夫, 加藤新太郎: "訴訟代理人としての司法書士の倫理"市民と法. 23号. 2-39 (2003)