2004 Fiscal Year Annual Research Report
「行政的な訴え」の類型と「日本型」処理手続き--近世日本を対象として--
Project/Area Number |
14520016
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大平 祐一 立命館大学, 法学部, 教授 (00102161)
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Keywords | 行政的な訴え / 訴願 / 願筋の「訴訟」 / 訴願手続 / 告発「訴訟」 / 不服申立「訴訟」 / 願型訴状 / 裁定 |
Research Abstract |
本研究では、公権力に何らかの救済・措置を求める訴えを広く「訴訟」ととらえ、その中に「民事的な訴え」(出入筋の「訴訟」)「刑事的な訴え」(吟味筋の「訴訟」)、「行政的な訴え」(願筋の「訴訟」、「訴願」)の三類型を考え、この三つの中で、従来その法的・手続的研究がほとんどなされて来なかった「行政的な訴え」(願筋の「訴訟」)について、差し当たり主要な類型を抽出し、その法的手続を明らかにするとともに、出入筋の「訴訟」や吟味筋の「訴訟」との異動を明らかにするという手法をとってきた。本年度は、研究の最終年度であるので、これまで収集し得た史料・文献類を再度点検して、先ず始めに、(一)「行政的な訴え」(願筋の「訴訟」、「訴願」)の類型として、最も主要なものとして二つの類型を抽出した。一つは、第三者の不当な活動に対し、行政庁に何らかの措置を求めるもの(告発「訴訟」)、もう一つは、行政の措置・処分に不服を訴え、善処を求めるもの(不服申立「訴訟」)である。次に、(二)これらについて、その法的手続きを明らかにすることに努めた。差し当たり解明し得た手続きを順を追って記すと、次のようになる。(1)訴状提出、(2)訴状糺、(3)奉公の冒頭尋問、(4)審理、(5)証拠の提出、(6)被非難者の召喚、(7)答弁書の提出、(8)答弁書に対する意見書の上申、(9)内済(示談、あつかい)、(10)裁定、(11)裁定請証文の提出。そして、(三)これらの手続から、「行政的な訴え」(願筋の「訴訟」、「訴願」)の特徴として、一面では、当事者主義的な出入筋の手続きに類似している側面があると同時に、他面では、糺問主義的な吟味筋の手続に類似している側面があったこと、そして「行政手続的な訴え」(願筋の「訴訟」、「訴願」)の処理にはこの両側面が求められていたことを明らかにした。
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Research Products
(1 results)