2002 Fiscal Year Annual Research Report
民主主義政治過程における先住民族…ハワイ先住民法制と日本への示唆
Project/Area Number |
14520018
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
常本 照樹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10163859)
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Keywords | 憲法 / 先住民族 / ハワイ / アイヌ民族 |
Research Abstract |
本年度の主な研究活動としてはオーストラリア・ブリスベンで開催された第16回比較法国祭会議・先住民族法部会において、日本の先住民族法体制について報告するとともに、アメリカを含む諸外国の先住民法体制に関する討論に参加したこと、札幌を訪問したハワイ大学ハワイ研究センター長カメレイヒワ教授および海外共同研究者であるハワイ大学ロースクールのレヴィン助教授らと意見交換並びに研究会を実施したこと(そのため、今年度については私がハワイを訪問する必要性がなくなった)、参議院憲法調査会において参考人として先住少数民族を含むマイノリティの人権保障体制について意見陳述を行ったこと、国土交通省北海道局アイヌ施策室においてハワイ先住民法体制について報告討論を行ったこと、などが挙げられる。 以上の活動を通じて、本研究の目的のうち、わが国の先住民族法体制について一定の提言を行うことができたほか、ハワイ先住民法体制については以下のことが明らかになった。第一に、アメリカ合衆国最高裁判官は、レーンキスト・コートになってからとりわけインディアン法の独自性・自律性を否定ないし縮減する方向に動いており、2000年のRice v. Cayetano判決はハワイ先住民についてその傾向を明らかにした判決と見るべきこと、第二に、主としてRice判決に対応するため、ハワイ先住民は合衆国議会による本土のインディアン部族と同様の法的地位の承認を獲得すべく立法活動を強めており(いわゆるAkaka法案)、2000年に合衆国下院及び上院委員会を通過したものの上院本会議での採決至らなかったこと、2002年においても採決に至らず、今なお活動が続けられていること、並びにその活動の具体的内容、などである。
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