2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト冷戦期におけるアメリカ国家安全保障法制の構造転換に関する実証的研究
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14520025
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 篤尚 広島大学, 総合科学部, 助教授 (00314708)
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Keywords | 安全保障 / テロ / サイバーテロ / 予防的自衛権 / 先制攻撃 |
Research Abstract |
1.2001年9月11日のいわゆる「9・11」テロ以降のアメリカの国家安全保障政策の抜本的転換、すなわち、大量破壊兵器およびテロの脅威に対しては、当該脅威がアメリカに対する「現実の差し迫った」脅威でなく、「将来における脅威の可能性」の段階であっても、当該「脅威の可能性」を事前に排除することによってアメリカの万全の安全を確保するために、核兵器を含む先制的な武力行使を予防的自衛権の行使として正当化する軍事戦略の採用-実際、アメリカは2003年3月に国際連合安全保障理事会の承認なしにイラクに対する先制攻撃に踏み切った-に関連して、今年度は、2001年9月末に発表された「国防計画4年次見直し(Q.D.R.2001)、秘密指定文書「2001年版・核戦略評価」、「2002年版・国防報告」、2002年12月に公表された「大量破壊兵器の脅威に対する国家戦略」、2003年2月の「テロの脅威に対する国家戦略」等の基本政策文書を、出版物、有料オンライン・データベース、マイクロ・フィッシュ等の形で収集した。 2.ブッシュ・ドクトリン、すなわち核兵器を含む先制的な武力行使を予防的自衛権の行使として正当化する軍事戦略の形成過程を詳細に分析するため、現在のブッシュ政権に強い影響力を持つといわれる2つのシンクタンク、「戦略国際問題センター(CSIS)」および「アメリカ新世紀プロジェクト」の大量破壊兵器保有国とテロの脅威に対する軍事的対応策についての提言等を出版物、有料オンライン・データベース、マイクロ・フィッシュ等の形で収集した。また、未公表または秘密指定された資料については、沖縄県立公文書館および神戸学院大学渡辺洋研究室に出張して、関連資料の収集に当たった。 3.サイバーテロについても、「9・11」以後、単純なハッキング(不正アクセス)等の行為もサイバーテロと定義し重罰を科す法律が、「2001年アメリカ合衆国愛国者法(USA PATRIOT ACT)」の第10編「2001年重要社会インフラストラクチャー保護法」として制定されたほか、「サイバースペースの安全への国家戦略」(2003年3月)、「重要社会インフラストラクチャーの物理的保護に関する国家戦略」などが採用されており、これらの立法及び策定過程を分析するために、議会資料や政府関係文書、政府の政策決定に影響を及ぼした各種シンクタンクの提言等の資料を出版物、有料オンライン・データベース、マイクロ・フィッシュ等の形で収集した。なお、一部有料データベースが契約できなかったため、CD-ROMやDVDで購入せざるをえなかった
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Research Products
(2 results)