2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520045
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
前田 泰 群馬大学, 社会情報学部, 教授 (40209391)
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Research Abstract |
医療行為に対する同意の代行(代諾)の法的性質を「法定代理」と解すれば、当然に民法総則の代理規定の適用が問題になる。この観点から、椿寿夫主催の「法律行為研究会」において「代理規定の法定代理への適用」をテーマとして3回にわたり報告した(平成14年5月11日、6月8日、平成15年1月11日:いずれも明治大学)。そこでは、(1)法定代理の類型が明確にされていないことを指摘し、(2)総則代理規定の法定代理への適用は規定ごとに議論の状況が異なることを明らかにした。 また、唄孝一主催の「代諾勉強会」での報告において(平成14年3月23日:早稲田大学)、代諾の法的性質は法定代理ではないことを示す目的で、法定代理に関する従来の理論上および解釈論上の議論が代諾の問題と接点を持たないことを明らかにした。さらに、同勉強会において親権者の代理権、同意権および身上監護権の検討を開始し、旧民法草案、旧民法および明治民法の制定過程における親権の議論を整理した(平成15年2月8日:東京国際フォーラム)。引き続き親権・後見に関する同じテーマでの報告を予定している。 なお、以上の作業と平行して、成年後見人の代諾権を検討するための予備作業として、東京家庭裁判所の旧禁治産・準禁治産事件における法律状況を調査した結果をまとめ、さらに成年後見制度における判断力の判定基準を検討し、今後の課題を明らかにした。また、判断力の判定基準を検討する作業の一つとして、判例における高齢者の意思能力の判定基準を検討した。 来年度は、(1)法定代理人の代理権・同意権の範囲、(2)医事紛争におけるインフォームドコンセント法理の意義、(3)ドイツ法・アメリカ法を中心とした比較法、以上が課題となる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 前田 泰: "判例にあらわれた高齢者の意思能力"老年精神医学. 13巻・10号. 1151-1157 (2002)
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[Publications] 前田 泰: "判断力の鑑定・診断"法学セミナー. 575号. 57-59 (2002)
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[Publications] 前田 泰: "財産法における「能力」"西山詮・新井誠編『意思能力と成年後見』日本評論社. 47-69 (2002)