2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520053
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 量 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60186781)
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Keywords | 資本 / 債権者保護 / 民間信用調査会社 / 代替的債権者保護制度 |
Research Abstract |
標記の研究について、今年度はドイツ法を中心に研究を行った。関係書籍を購入し、文献に基づく研究を行うとともに、ドイツに赴いてドイツにおける民間信用調査会社の活動の実態と、特に昨年度EUにおいて、EU加盟国の会社法の現代化という作業が進行中であるところ、作業を担当する委員会より、資本は高コストの事前規制であるという批判を受けて、アメリカ法と同様、資本制度を廃棄することについてパブリックコメントの手続きが採られたことから、これについてのドイツ学界の反応についても調査を行った。その結果、後者については、ドイツではやはり資本は株式会社形態の本質をなすものであり、資本制度の廃棄については消極的であるというのが、学界の姿勢であった。一方、前者の民間信用調査会社であるが、現在ドイツでは、多数あった小規模のものが、大規模なものに収斂されつつある過程であること、また、これらの調査会社は銀行系のものが多いが、銀行から独立した形で企業の格付けを行っているものであること、その調査手法は、年度決算書と会社からの情報提供によるものであることがわかった。ただ、ドイツでも銀行のBIS規制が大きな問題となっており、この点で銀行は、資金の貸付に際して民間信用調査会社の格付けを活用する方向にあり、企業側も資本市場からの資金調達のため、格付けを利用としており、今後ドイツでは民間の信用調査会社の活躍の場が増え、今後果たす役割が期待されているという現状であることが認識しえた。 来年度はアメリカでの民間調査会社の実態と債権者保証措置について研究し、日本における、資本に替わる債権者保護制度(代替的債権者保護制度)の方向性を見出す予定である。
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