2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520053
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 量 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60186781)
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Keywords | 資本制度 / 倒産リスクの測定 / 民間信用調査機関 / 取引信用保険 / 取締役の資格剥奪制度 / 会社債権者保護 |
Research Abstract |
アメリカては、資本制度が実効的な債権者保護装置でないとして放棄され、既に四半世紀が経っている。近時わが国やヨーロッパ諸国においても、同制度の債権者保護としての実効性に疑問が持たれ、また効率的な資産運用および新規参入の促進という観点から、資本制度の廃棄が検討されている。そこで、本研究では、廃棄するとして、その場合に必要となる代替的な債権者保護措置として、具体的にどのようなものがありうるかを比較法的に考察した。ヨーロッパ諸国では、従来から、民間の保険会社による取引信用保険制度というものが商品化されており、これにより債権者の自衛が図られている。また、イギリスでは、取締役の機会主義的行為を取り締まるために、資格剥奪という独特の制度を導入しており、近時その利用が増加している。一方、アメリカでは、民間信用調査機関の利用により自衛が図られている。日本でも、近時倒産リスクの測定を専門とする会社が出てきているし、取引信用保険の販売も始められており、同様の代替的措置ができつつある。もっとも、日本で粉飾決算による会社延命の末の倒産が多い理由として、実務から、これは従来の日本の再チャレンジを認めない風土が経営者をそこに追い込むのであり、このような経営者を取り巻く環境を変えることの必要性が実態調査の際に強く指摘された。現在日本でも、再チャレンジを認める社会への移行が謳われており、この点でもわが国でも資本制度を廃止する素地はできつつあるといえる。なお、この点との関係で、資格剥奪制度を採用する場合には、慎重な制度設計を要する。成果は近く公表予定である。
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