2003 Fiscal Year Annual Research Report
消費者に対する信用供与取引についての民事法的規律のあり方
Project/Area Number |
14520058
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山田 誠一 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60134433)
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Keywords | 利息制限法 / 貸金業規制法 / 出資法 |
Research Abstract |
消費者に対する信用供与取引における利息規制について、考察を行ない、以下のような成果を得た。 (1)利息制限法は、利息の最高限を定め(元本が100万円以上の場合は、年1割5分)、超過部分につき、利息の契約は無効であるとする(1条1項)。しかし、同時に、超過部分を任意に支払った場合は、その返還を請求できないとする(1条2項)。これに対して、判例は、利息として支払った金銭の額が、この利息の制限額を超える場合、当該超過部分の支払いは、元本に充当されるとの準則を形成した。しかし、貸金業規制法43条1項は、貸金業者が、業として行なう金銭消費貸借上の利息の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払った金銭の額が利息の制限額を超え、利息制限法上、その超過部分につき、契約が無効とされる場合において、貸金業者が貸金業に係る業務規制として定められた各書面(同法17条1項、および、18条1項所定の各要件を具備しなければならない)を交付する義務を遵守しているときは、利息制限法1条1項(上記)の規定にかかわらず、その支払を有効な利息の債務の弁済とみなす旨を定めている。 (2)このような規律は全体として、本来、利息の超過部分の支払は、元本に充当されるべきところ、資金需要者の資金需要の利益を実現しつつ、高金利負担により生じうる生活・事業の困難を回避するために、貸金業規制法にもとづく業務規制が遵守されている限り、例外的に、利息の超過部分の支払も、利息の弁済と評価され、元本に充当されないとするものと理解されるべきである。そうであれば、利息制限法43条1項の要件、すなわち、同法17条1項、および、18条1項の要件は、厳格に解釈されるべきである(最高裁平成16年2月20日第2小法廷判決参照)。
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